医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Internal Medicine trainee perspectives on back-up call systems and relationships to burnout (Med Educ 2022)

Sheikh N, Ng SL, Flett H, Shah R. Internal Medicine trainee perspectives on back-up call systems and relationships to burnout. Med Educ. 2022 Dec 9. Epub ahead of print.

背景:医学界のバーンアウトが深刻化するなか、研修プログラムは研修構造がどのように寄与しているかを理解するよう努めるべきである。レジデントの夜間呼び出し対応におけるギャップに対処するためのバックアップコールシステム (Back-up call systems)は、その一因となりうる構造である。しかし、バックアップコール政策とバーンアウトとの関連は依然として不明である。著者らは、コールカバーのためにバックアップレジデントを起動するか否かを決定する際のレジデントの意思決定プロセス、コール起動の正当性を取り巻く視点、バックアップコールシステムが教育や経験したバーンアウトに及ぼす影響について調査した。

方法:トロント大学の内科系レジデントをEメールで募集した。2019年9月から2020年2月にかけて、18人の半構造化1対1インタビューをレジデントに実施した。インタビューでは、バックアップコールやコールアクティベーションに関する参加者の経験や認識を探った。アクティベーションの根底にあるレジデントの意思決定、下流への影響、バーンアウトとの関係などに関連するバックアップシステムの概念的理解を深めるために、構成主義的グラウンデッド・セオリー・アプローチを使用した。

結果:レジデントは、バックアップを作動させるかどうかを決定する際に、複雑な思考過程を説明した。決断は、同僚意識、イメージ維持の必要性、自己申告のバーンアウトとバランスのとれた時期などの内的葛藤によって彩られていた。レジデントは、バックアップコールがバーンアウトにつながる可能性があることを説明し、通常、疲労の形で、今後バックアップを発動するための閾値を下げると述べた。その影響には、緊急事態が発生するかどうかわからないという不安、教育の生産性の低下、同僚の仕事量の増加という「ドミノ効果」などがあった。

結論:レジデントは、バックアップの発動を決定する際に、内なる緊張を秤にかけている。彼らの経験を総合すると、バーンアウトはバックアップコールの引き金であると同時に結果でもあり、循環的な関係を生み出していることが示唆される。コール作動率の上昇は、レジデントのバーンアウトが高いことを示唆している可能性があり、レジデントの健康状態を評価し、予期せぬ結果に関してそのシステムの構造を批判的に評価するための教育的指導が必要となる。