医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Development of an assessment tool to measure communication skills among family medicine residents in the context of electronic medical record use (BMC Med Educ 2023)

Antoun J, Saab B, Usta J, Romani M, Akl IB, El Mofti MF, Eter J, AlArab N, Itani H. Development of an assessment tool to measure communication skills among family medicine residents in the context of electronic medical record use. BMC Med Educ. 2023;23:245.

背景:電子カルテ(EMR)の導入により、教育や評価が必要な新たなコミュニケーションスキルが生まれている。電子特有のコミュニケーションスキルを測定する検証済みの尺度に関する文献は乏しい。本研究の目的は、一般的なコミュニケーションスキルとEMR特有のコミュニケーションスキルを評価する評価チェックリストを開発し、その内容的妥当性と信頼性を評価することである。

方法:コミュニケーションスキルの理論的枠組みであるSEGUEを用い、家庭医療科のCommunication Skills Working Group (CSWG)が、EMR使用が医師・患者間のコミュニケーションに与えるポジティブ面とネガティブ面に関する文献調査を行い、評価チェックリスト項目を作成した。教員グループは、3週間の間隔をおいて2回、実際のレジデントと患者との出会いを評価した。患者には、エンカウンターの最後にコミュニケーション・アセスメント・ツール(CAT)の記入を求めた。

結果:合計8名のレジデントが研究に参加することに同意し、21回の臨床遭遇が記録された。平均総スコアは、開発した尺度とCAT尺度でそれぞれ65.2±6.9と48.1±9.5であった。尺度の信頼性は良好であり、Cronbach alphaは0.694であった。テスト・再テスト信頼性は0.873, p < 0.0001であった。開発したチェックリストの総スコアについて、評価者間のクラス内相関係数ICC)は0.429 [0.030, 0.665]、p値 0.019であった。5つのサブセクションの累積スコアに関する2人の評価者間の一致度は、0.506(対人関係スキル)から0.969(エンド・エンカウント)であった。

結論:このチェックリストは、基本的なコミュニケーションスキルとEMR関連のコミュニケーションスキルを組み合わせた、信頼性と妥当性の高い尺度である。