医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Graduates' preparedness for the changing doctor-patient relationship: a qualitative study (Med Educ 2023)

Brennan N, Langdon N, Keates N, Mattick K, Gale T. Graduates' preparedness for the changing doctor-patient relationship: a qualitative study. Med Educ. 2023 Jan 16. Epub ahead of print.

背景:医師と患者の良好な関係は、質の高い患者ケアに不可欠な要素である。近年、この関係は変化しているという認識が一般的だが、その根拠は十分ではない。医師と患者の関係の変化に対応することは、これからの医師が持つべき重要なスキルとして認識されている。本研究では、1)医師と患者の関係がどのように変化しているか、2)医師と患者の関係が変化するなかで働くために、医学部卒業生がどのような準備をしているかについて、複数のステークホルダーの視点から調査する。

方法:我々は、英国全土の複数の関係者との半構造化面接を含む全国規模の質的研究を実施した。実践後最初の2年の医師(ECD's)、患者代表、指導医、学部長、医学教育者、その他の医療専門家を含む67人の関係者に対して、45~60分のインタビューを実施した。インタビューは、音声録音、文字起こし、分析、NVivoでのコード化、Thematic Framework Analysis approachによる分析が行われた。

結果:医師と患者の関係が変化していると認識されている主な点は、共有意思決定が進み、また患者が情報を入手しやすくなっていることに関連していた。コミュニケーション、患者中心のケア、エンパワーメントの促進は、変化する医師と患者の関係のなかで働くための準備として重要なスキルであると認識されていた。卒業生は、患者のエンパワーメントの前提条件(コミュニケーションと患者中心のケアの提供)については一般的によく準備されているが、真の患者のエンパワーメントを達成するためにはさらなる努力が必要であることが報告された。

結論:本研究は、医師と患者の関係が、特に'patient-as-knowledge-source'という次元でどのように変化しているかを明らかにすることで、概念的な進歩をもたらすものである。全体として、ECD'sは、患者のエンパワーメントスキルを除いて、変化する医師-患者関係で働くための準備が十分に整っている。主要な利害関係者(特に患者の視点)が共有する患者のエンパワーメントに関する深い理解を提供し、キャリアステージに適した教育的介入の設計を支えるために、現在さらなる研究が必要である。