医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Patient outcomes in a Longitudinal Integrated Clerkship: a systematic literature review (Med Educ 2022)

Dodsworth A, Munro K, Alberti H, Hirsh DA, Paes P, Illing J. Patient outcomes in a Longitudinal Integrated Clerkship: a systematic literature review. Med Educ. 2022 Dec 26. Epub ahead of print.

背景:患者と学生の関係は、Longitudinal Integrated Clerkships(LICs)の中核をなす。学生やプリセプターの成果は有益であるが、患者アウトカムは依然として不明である。このシステマティック文献レビューは、LICにおける患者アウトカムに関する現在のエビデンスベースを調査したものである。患者アウトカムは、患者の安全性、臨床効果、患者経験価値に関連する問題と定義された。

方法:7つの文献データベースを検索した。さらに、医学教育雑誌3誌のバックナンバーを手作業で検索し、含まれる研究と関連するシステマティックレビューの後方引用・前方引用を検索した。収録された研究は、品質評価され、その強度とエビデンスレベルについて評価された。質的なデータ統合が行われた。

結果:データベース検索により7237件のタイトルが同定された。重複を排除したうえで、タイトルと抄録を包括基準に照らしてレビューした。48の研究がフルテキストレビューを受けた。19件が組み入れ基準を満たした。より広範な検索戦略から7件の研究が含まれた。26 件の研究から、2 つの主要なテーマが特定された。(1) 「患者と学生の信頼関係」は、「ケアと思いやり」「患者の教育とエンパワーメント」「『私の』医師としての学生の喪失」というサブテーマを含んでいる。(2)「学生が患者を変える役割を果たす」には、「患者アドボカシー」「患者が医療制度を利用するための支援」「患者と医療従事者のコミュニケーション」「プリセプターのケア、医療サービス、コミュニティの向上」というサブテーマが含まれる。

結論:LICsは教育の継続性を提供し、患者-学生間の信頼関係を構築する。この関係により、学生は患者アウトカムを向上させ、患者のために変化をもたらす存在となる。このレビューは、医学教育カリキュラムの一部としてLICを持つことの利点と、その成功のための意味について、さらなるエビデンスを提供する。教育によってもたらされる患者への恩恵を探求し、患者の健康状態の客観的な評価について調べるために、さらなる研究が必要である。