医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical Student Identity Construction Within Longitudinal Integrated Clerkships: An International, Longitudinal Qualitative Study (Acad Med 2022)

Brown MEL, Ard C, Adams J, O'Regan A, Finn GM. Medical Student Identity Construction Within Longitudinal Integrated Clerkships: An International, Longitudinal Qualitative Study. Acad Med. 2022 May 10. Epub ahead of print.

背景:Longitudinal Integrated Clerkships(LICs)は、学生が長期にわたって患者ケアに本格的に参加することを目的として、世界中で実施されてきた。このモデルの利点として、LICsが、恵まれない地域に将来の医師を呼びこむことができること、学生がアドボカシーに参加すること、「ケアの倫理」を身につけることなどが研究により示されている。しかし、LICsはプロフェッショナル・アイデンティティを強化する可能性はあるものの、LICsがどのようにその恩恵を与えるかについてはあまり知られていない。そこで、本研究では、国際的なLICsのなかで、医学生のプロフェッショナル・アイデンティティの時間経過につれての構築を探索することを目的とした。

方法:本研究は、2019年から2020年にかけて、イギリス、アイルランドアメリカの4つのメディカルスクールで33名の学生が参加した縦断的質的研究である。著者らは、参加学生のLICs中のアイデンティティ構築について調査した。データ収集は、LICの入口(n = 33)と出口(n = 29)での個別半構造化インタビュー、および終始オーディオダイアリーの3段階を行った。データは、reflexive thematic approachにより帰納的に分析された。

結果:3つのテーマが確認された。「患者やプリセプターとの縦断的関係が、patient care ownershipと責任を促す」「LIC学生が患者の支持者となる」「縦断的関係が学生の社会的良心を形成する」である。このテーマは、学生と患者、学生とチューターとの関係の継続性に裏打ちされていた。

結論:連続性はLICの基礎として称賛されているが、このことはLICの利点を理解するうえであまりにも広範であることを示唆するものである。むしろ、継続性とは、多様な診療コミュニティのなかで重要な関係を築き、医学生が責任感と思いやりをもってunderserved populationsを支援するプロフェッショナル・アイデンティティを構築することを促進するものであると考えるべきであろう。このことは、本研究で取り上げた機関、国、LICの種類を問わず、共通して言えることである。LICがアイデンティティに与える影響を明らかにすることで、本研究の結果は、LICの今後の発展と提供に関する重要な洞察を提供するものである。