医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Identifying validity evidence for uncertainty tolerance scales: A systematic review (Med Educ 2022)

Stephens GC, Lazarus MD, Sarkar M, Karim MN, Wilson AB. Identifying validity evidence for uncertainty tolerance scales: A systematic review. Med Educ. 2022 Dec 28. Epub ahead of print.

背景:不確実性耐性(Uncertainty tolerance, UT)は、医学部卒業生の特性としてますます評価され、医学生集団の間で広く測定されるようになっている。しかし、UT尺度を実施する際の妥当性についてのエビデンスは、各研究でまとめられていない。本研究では、UT尺度をいつ、なぜ、どのように使用すべきかをより適切に伝えるために、UT尺度の妥当性エビデンスを評価し、残存する妥当性エビデンスのギャップを明らかにすることを目的としている。

方法:2022年にUT尺度の心理測定研究の文献検索を行った。最も引用されている4つのUT尺度(すなわち、Physicians' Reactions to Uncertainty scale 1990(PRU1990)または1995(PRU1995)、Tolerance for Ambiguity scale(TFA)、Tolerance of Ambiguity in Medical Students and Doctors scale(TAMSAD))を医師や医学生を対象に実施し、教育心理テスト基準の枠組みに従って妥当性のエビデンスを提示したものを対象とした。収録された研究は、テストの内容、反応過程 (response process)、内部構造、他の変数との関係、テストの結果に関するエビデンスに従って評価され、分析された。

結果:調査した尺度のうち、「他の変数との関係」と「内部構造」が最もよく報告される妥当性の根拠であった。また、「反応過程」、「テストの結果」については、妥当性のエビデンスとなるものは確認されなかった。全体として、PRU1990とPRU1995が最も強い妥当性の証拠を示したが、その証拠は主に医師集団に関連するものであった。

結論:研究されたどの尺度も、妥当性の5つの情報源すべてについてエビデンスを示していなかった。今後の研究では、異なるトレーニング/キャリア段階にある医師や医学生を対象に、「反応プロセス」と「テストの結果」の妥当性エビデンスを評価し、これらの集団におけるUT構成概念の理解を深めることが有益であると思われる。UT尺度の有効性に関するより強力なエビデンスが確立されるまでは、UT尺度を研究以外の場(例えば、より高いリスクを伴う意思決定)で実施しないよう注意する。