医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Task Complexity and Cognitive Load in Simulation-based Education: A Randomized Trial (Med Educ 2022)

Tremblay ML, Rethans JJ, Dolmans D. Task Complexity and Cognitive Load in Simulation-based Education: A Randomized Trial. Med Educ. 2022 Sep 23. Epub ahead of print.

背景:初心者を対象としたシミュレーションを設計する際、教育者は、学習を促進するのに十分なほど複雑でありながら、タスクの実行を妨げたり認知的過負荷を引き起こしたりしないタスクと環境を設計することを目的としている。本研究の目的は、タスクと環境の複雑さを調整することが、シミュレーション中の初心者のパフォーマンスと認知的負荷に与える影響を明らかにすることである。

方法:薬学部の2年生(N = 162)を、単純環境での単純課題、単純環境での複雑課題、複雑環境での単純課題、複雑環境での複雑課題の4条件(2x2要因デザイン)のいずれかにランダムに割り付け、シミュレーションを行った。ビデオ録画を用いて、2人の評価者がシミュレーション中の学生のパフォーマンスを評価した。タスク終了後に質問票を用いて内在的認知負荷(ICL)と外在的認知負荷(ECL)を測定し、タスク終了後とデブリーフィングで知識をテストした。

結果:単純環境でのパフォーマンスの平均点は、単純タスクで28.2/32(SD = 3.8)、複雑タスクで25.8(SD = 4.2)であった。複雑環境では、単純課題では24.6点(SD = 5.2)、複雑課題では25.6点/32点(SD = 5.3)であった。また、タスクと環境の複雑さの間には、パフォーマンスに関して有意な交互作用が見られた。単純環境では、ICL得点の平均は単純課題で4.2点(SD = 2.2)、複雑課題で5.7点(SD = 1.5)であった。複雑な環境では、平均ICL得点は単純課題で4.9/10(SD = 1.8)、複雑課題で5.1/10(SD = 1.9)であった。ICLには、タスクの複雑さの主効果がみられた。ECLについては、課題と環境の複雑さの相互作用効果も主効果も見出せなかった。タスク後の知識テストにはタスクの複雑さの主効果が、ディブリーフィング後の知識にはタスクと環境の複雑さの主効果がみられた。

結論:すべての条件において、パフォーマンスは良好で、認知負荷は妥当なレベルに保たれていた。このことは、複雑性が増しているにもかかわらず、学生は自らの認知負荷を戦略的に管理し、シミュレーションから学習しているようであることを示唆している。また、環境の複雑さがICLに寄与していることが示唆された。