医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Perceived positive social interdependence in online versus face-to-face team-based learning styles of collaborative learning: a randomized, controlled, mixed-methods study (BMC Med Educ 2022)

Shimizu I, Matsuyama Y, Duvivier R, van der Vleuten C. Perceived positive social interdependence in online versus face-to-face team-based learning styles of collaborative learning: a randomized, controlled, mixed-methods study. BMC Med Educ. 2022;22:567.

背景:協働学習 (collaborative learning)は、グループ内での積極的な社会的相互依存 (social interdependence)が、学習成績の向上や将来のチーム実践への態度の鍵を握るグループ学習アプローチである。近年、情報通信技術を利用して、対面式の環境をオンラインに置き換える試みが展開されている。しかし、この場合、オンライン協働学習(OCL)が積極的な社会的相互依存を減少させる可能性が懸念される。そこで本研究では、OCLにおける社会的相互依存の程度を対面環境と比較し、OCLにおける社会的相互依存に影響を与える側面を明らかにすることを目的とした。

方法:2021年の医学生(n = 124)を対象に、チームベースラーニングを用いた臨床推論の授業において、オンラインと対面での協働学習環境を比較するクロスオーバー研究を実施した。参加者は2つのコホートにランダムに割り当てられた。コホートAはオンライン環境、コホートBは対面環境で開始した。研究の中間点では、ウォッシュアウトとして2つのコホートの環境が交換された。参加者は、授業の前後に、社会的相互依存度尺度(SOCS)を用いたアンケートに回答し、肯定的な社会的相互依存の認知度を測定した。SOCSスコアの平均値の変化は、ペアのt検定を用いて比較された。オンライン環境の特徴に関する質的データは、フォーカス・グループから得て、テーマ分析を使ってコード化した。

結果:SOCSのmatched-pair検定では、オンラインと対面式の両群で、プログラム前後のスコアの間に有意な進展が見られた。また、SOCSの総合得点には、両群間に有意な差は見られなかった。サブカテゴリー別の分析では、境界(個人間の不連続性)と手段的相互依存(資源、役割、課題)は両群で有意に改善したが、結果的相互依存(目標、報酬)はオンライン群のみで有意に改善した。質的分析の結果、OCLにおける社会的相互依存に影響を与える主要なテーマは、コミュニケーション、タスク共有プロセス、他のグループに対する認識、作業設備の4つであった。

結論:対面環境とオンライン環境では、学生のコミュニケーションスタイルに違いがあり、これらの様々な影響が、対面環境とオンライン環境における社会的相互依存を均等化させる。