医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Capacity for wonder among medical students: Assessment and educational implications (Med Teach 2022)

Geller G, Shin S, Goldberg H, Merritt MW. Capacity for wonder among medical students: Assessment and educational implications. Med Teach. 2022 Jul 20:1-5. Epub ahead of print.

背景:不思議に思う力(capacity for wonder; CfW)は、医療従事者の特性として高く評価されている生涯学習と道徳的人格形成に関連する個人的な気質である。我々は以前、大学生を対象としたCfW尺度を開発し、その妥当性を確認した。ここでは、その尺度が医学生にどのように作用したかを述べる。

方法:米国の一流医科大学の全学生(N=477)を対象に、CfW尺度、医学部在学年、人口統計などのオンライン調査への参加を呼びかけた。CfW尺度の確認的因子分析を行い、その信頼性を再確認した。

結果:276名の学生がアンケートに回答し、全体の回答率は58%であった。因子分析の結果、アルファ値0.79、固有値3.57の10項目からなる尺度が得られた。因子負荷量は0.43から0.77の範囲であった。総得点の平均は、60点満点で39.3点(SD=8.9)であった。総得点は学年によって異なり、2年生で有意に低かった(32.9 vs. 41.5; p < 0.001)。

結論:10項目のCfWスケールの信頼性を、医学生 4 コホートで確認した。その結果、医学部2年次が学生のwonderに対する能力を最も低下させることが示唆された。この現象を理解し、それを軽減するための介入策を開発する努力が必要である。今後の研究では、CfW尺度の妥当性、不思議に思う力を養うためにデザインされた介入策の評価における有用性、他の医療従事者グループへの適用性、倫理的意思決定や実践との関連性を探る必要がある。