医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Impact of background music on the performance of laparoscopy teams (BMC Med Educ 2022)

Han Y, Zheng B, Zhao L, Hu J, Zhang C, Xiao R, Wang C, Pu D. Impact of background music on the performance of laparoscopy teams. BMC Med Educ. 2022;22:439.

背景:手術室内の音響環境は、外科医のパフォーマンスに様々な影響を与える。手術チームのパフォーマンスに対する音響条件の影響はあまり知られていない。我々は、快適な音響条件下で手術を行う腹腔鏡チームは、騒がしい条件下よりも良いパフォーマンスを示すかどうかを調査した。

方法:我々は114名の外科系レジデントを採用し、57の2人組のチームを結成した。各チームは、音楽、ニュートラル、騒音の各音響条件下で、シミュレーショントレーニングボックス上で2つの腹腔鏡タスク(物体搬送と共同縫合)を行うよう求められた。各パフォーマンスのビデオ録画からデータを抽出し、解析を行った。タスクのパフォーマンスは、タスク完了までの時間、エラーの総数、および客観的なパフォーマンススコアによって測定された。これらの測定値は、3つの音響条件にわたって比較された。

結果:音楽環境は、物体搬送タスク(パフォーマンススコア:66.3 ± 8.6 vs. 57.6 ± 11.2; p < 0.001) と共同縫合タスク(78.6 ± 5.4 vs. 67.2 ± 11.1; p < 0.001) において騒音環境よりも高いパフォーマンススコアを誘発することが示された。音楽環境と騒音環境でのタスク時間を差し引き、音楽-騒音差分時間を算出した。ピアソン相関係数分析により、物体運搬タスク(r = - 0.246, p = 0.046)および共同縫合タスク(r = - 0.248, p = 0.044)におけるチーム経験スコアと音楽・騒音差異時間の間に有意な負の関係が示された。

結論:音楽は腹腔鏡チームのパフォーマンスを向上させるが、騒音環境はパフォーマンスを悪化させる。チーム経験と音楽-騒音差時間の負の相関は、経験豊富な外科医で構成される腹腔鏡チームは、騒音のあるチームよりも音響的気晴らしの影響を受けにくいことを示唆する。音響ディストラクションに対するチームの抵抗力は、チームのスキルを評価する新しい方法につながる可能性がある。