医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Ambiguity and uncertainty tolerance and psychological needs of medical students: A cross-sectional survey (Clin Teach 2022)

Babenko O, Lee A. Ambiguity and uncertainty tolerance and psychological needs of medical students: A cross-sectional survey. Clin Teach. 2022 Aug 23:e13523. Epub ahead of print.

背景:医療現場における曖昧さや不確実性の存在は広く認識されているが、学生が曖昧さや不確実性に適応的に対応できるようになるために教育者が考慮すべき背景的要因について、より深い理解が求められている。本研究の目的は、自己決定理論に基づき、医学生の曖昧さや不確実性に対する耐性において、基本的な心理的欲求である自律性、有能性、関連性が果たす独自の役割を探ることであった。

方法:本研究は、カナダの大規模大学の医学部3年生(n = 70)を対象とした横断的な調査研究である。回帰分析では、年齢と性別をコントロールしながら、3つの基本的な心理的欲求を医学生の曖昧さ・不確実さへの耐性の予測因子として入力した。

結果:3つの欲求のうち、能力への欲求は、学生の曖昧さ・不確実さへの耐性と統計的に有意であった(β = 0.326; p = 0.038)。また、自律性と関連性の欲求は、統計的に有意ではなかった(それぞれ、β = -0.170; p = 0.274 と β = 0.154; p = 0.218)。

結論:学習環境における能力欲求の充足を経験した医学生は、曖昧さや不確実性に対する耐性が高いと報告された。自己決定理論に基づき、医学教育への潜在的な示唆を考察した。