医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Reliability of Uncertainty Tolerance Scales Implemented Among Physicians and Medical Students: A Systematic Review and Meta-Analysis (Acad Med 2022)

Stephens GC, Karim MN, Sarkar M, Wilson AB, Lazarus MD. Reliability of Uncertainty Tolerance Scales Implemented Among Physicians and Medical Students: A Systematic Review and Meta-Analysis. Acad Med. 2022 Mar 1. Epub ahead of print.

背景:不確実性耐性(Uncertainty tolerance, UT)は、個人の認知、感情、行動にわたる不確実性の認識とそれに対する反応を記述する構成概念である。医師や医学生を対象とした様々なUT尺度が考案されている。しかし、UTと他の変数(例えば、トレーニング段階)との関連は一貫しておらず、尺度の信頼性と妥当性についての懸念が生じている。信頼性は妥当性の前提であり、UT尺度の有効性を評価するために必要な最初のステップは、その信頼性を評価することである。そこで、医師・医学生を対象に作成され、実施されているUT尺度の信頼性について、メタ解析を行った。

方法:2020年、著者らは4つの電子データベースを検索し、過去に特定されたUT尺度の引用文献を検索した。医師・医学生を対象にUT尺度を実施し、信頼性のエビデンスを報告した英語による査読付き研究を対象とした。Cronbach's alphasを用いたメタ分析により、研究間の内部一貫性を評価した。サブグループ分析では、UT スケールを、名前付きスケール、母集団、項目の特性によって評価した。

結果:4,124件の記録がスクリーニングされ、36件の研究が包含基準を満たし、77のCronbach's alphasが報告された。4つのUT尺度が、少なくとも4つの研究に含まれていた。Uncertainty scale 1990(PRU1990)および1995(PRU1995)バージョン、Tolerance for Ambiguity scale(TFA)、Tolerance of Ambiguity in Medical Students and Doctors scale(TAMSAD)である。これらの尺度の信頼性は、非常に良好(PRU1990:0.832、PRU1995:0.818)、立派(TFA:0.761)、最低限許容できる(TAMSAD:0.697)範囲であった。集計された内部一貫性は、医学生(0.707)よりも医師(0.797)の方が有意に高かった(P < 0.001)。

結論:UT尺度は、医師と医学生の間で実施された場合、一般に立派な内部一貫性を示したが、医学生における信頼性は有意に低かった。著者らは、特に医学生の集団において、UTスコアを意思決定(例:志願者選抜、プログラム評価)の目的に使用しないよう注意を促している。今後の研究では、このような母集団の違いの背後にある理由を探る必要がある。