医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Self-assessment: With all its limitations, why are we still measuring and teaching it? Lessons from a scoping review (Med Teach 2022)

Yates N, Gough S, Brazil V. Self-assessment: With all its limitations, why are we still measuring and teaching it? Lessons from a scoping review. Med Teach. 2022 Jul 4:1-7. Epub ahead of print.

背景:自己評価(SA)は学習に不可欠であるとしばしば仮定されるが、この仮定には多くの反証がある。自己評価には、能力との相関がないなど、大きな限界があることが研究で示されている。

方法:我々は、医学教育におけるSAのscoping review(2011-2021)を実施し、驚くべきことに、SAが学習の成功の有効な尺度、あるいは教える必要のあるスキルであると誤って仮定された実質的な研究を発見した。当初は生涯学習を推進するためにSAが有効に活用されている事例を調査することを目的としていたが、除外された研究を調査することで、SAの誤用がどの程度問題になっており、結果として無駄な研究が行われているかを調査することにした。

結果:1151の論文から、SAの文書化されたlimitatonsを無視した207の論文を特定した。39の研究は、学習のSAを調査していた。この研究の有用性は限られている:SAの精度を上げても、パフォーマンスや生涯学習は改善されない。168件の研究では、プログラムや介入を評価するための結果指標としてSAが用いられており、そのうち63件では知識/スキルの自己評価による向上が唯一の指標とされていた。自信のSAは62の研究で測定された。自信を客観的なパフォーマンス指標と比較した場合、両者は必ず向上したが、自信とコンピテンシーを測定した場合、必ずしも一致しなかった。

結論:多くの研究者は、正確に自己評価する能力が学習に不可欠であると誤解しており、学習を進めるための証拠に基づく方法ではなく、自己調整の指導に重点を置いている。また、知識・スキルの自己申告による向上が、プログラム・介入の有効性の証拠になると誤って考える研究者もいる。これは特に初心者に関して厄介なことで、初心者は、自己評価で向上した/自信を得たから、自分は有能になったと思い込んでしまう可能性がある。我々の知見は、SAが測定値として誤解されたり、誤用されたりしている研究が大量に行われていることを強調するものである。我々は、このような研究が行われ続けている理由を提示し、今後の解決策を提案する。