医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Beyond Checking Boxes: Exploring Tensions With Use of a Workplace-Based Assessment Tool for Formative Assessment in Clerkships (Acad Med 2022)

Phinney LB, Fluet A, O'Brien BC, Seligman L, Hauer KE. Beyond Checking Boxes: Exploring Tensions With Use of a Workplace-Based Assessment Tool for Formative Assessment in Clerkships. Acad Med. 2022 Jun 14. Epub ahead of print.

背景:医学生へのフィードバックを促進するための職場ベースの評価(workplace-based assessment; WBA)ツールの役割を理解するために、本研究では、ツール導入の2年間におけるクラークシップのフィードバック活動システムの変化と緊張を、文化・歴史的活動理論(cultural historical activity theory; CHAT)のレンズを通して調査した。

方法:本研究は、CHATを用い、フィードバック活動システムの要素(コミュニティ、ツール、ルール、オブジェクトなど)とこれらの要素間の緊張関係を明らかにすることで、コア・クラークシップにおけるWBAの利用を探る質的研究である。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のコア・クラークシップの学生を対象に、導入1年目(2019年)と2年目(2020年)に直接観察とフィードバックを強化することを目的としたWBAツールの経験を引き出す半構造化インタビューに参加するよう求めた。1年目のWBAツールは、学校の評価システムで監督者がパソコンで入力する必要があった。2年目は、学生、指導教員ともにWBA記入能力を持ち、学校の評価システムとは別にスマートフォンからフォームにアクセスできるようにした。

結果:35名の学生がインタビューに参加した。その結果、時間やツールの反復によって変化する緊張が確認された。1年目の学生は、面倒なツールデザイン、上司に負担をかけることへの恐れ、WBAの目的に対する混乱、WBAチェックボックスであること、クラークシップの状況や文化に応じたWBAの有用性に関連する緊張を説明した。学生は、1年目のツールのバージョンについて、同僚や上司の間で不満を感じていた。2年目のモバイルベースのツールおよび学生の記入機能は、1年目に指摘された多くの緊張を緩和するのに役立った。学生は、2年目には同僚や上司の間でWBAが広く受け入れられるようになり、WBAが評価の低いフィードバックのためのものであると理解し、学習のための形成的評価をサポートすることが報告された。

結論:CHATを用いて、WBAツールの反復によるフィードバック活動システムの変化を調査した結果、ツールの効率化のための技術設計や、学生がWBAを用いてフィードバックを文書化する際の自律性の付与など、WBAの実施に重要な要素が明らかになった。