医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Dutch and Indonesian teachers on teaching medical ethics: what are the learning goals? (Med Educ Online 2022)

Muhaimin A, Hoogsteyns M, Lestari DWD, Ferine M, Utarini A, Willems DL. Dutch and Indonesian teachers on teaching medical ethics: what are the learning goals? Med Educ Online. 2022;27:2079158.

背景:これまでの文献では、倫理教育の異なる見解、多様な目標や範囲、医療倫理のより均質なカリキュラムの必要性などが論じられてきた。倫理は価値観に関するものであり、価値観は文化に影響される部分もあることから、医療倫理カリキュラムの学習目標に関する教師の認識は、2つの異なる国でどの程度似ているか、異なっているか、また学習目標の違いは許容範囲か問題なのか、について問うた。

方法:インドネシア出身の20名とオランダ出身の16名、計36名の医療倫理担当教員に詳細なインタビューを行い、彼らが考える重要な学習目標とは何かを探った。

結果:その結果、両グループ間で、(1)専門家であること、(2)倫理的問題に対処すること、(3)社会の一員であること、という3つの類似した目標が、わずかに異なる認識で見いだされた。また、オランダでは(4)自己理解、(5)他者からの学び、インドネシアでは(6)誠実・篤実、(7)ルール・基準の遵守という4つの目標に違いが見られた。

結論:このように、世界共通の目標があるにもかかわらず、異なる文化的背景を持つ教師が、それぞれの地域の価値観で目標を捉え、カリキュラムに反映させる方法には違いがある可能性を示唆している。学習目標の違いは、歴史的・社会文化的な文脈を反映した一般的かつ自然なものであり、異なる地域の教師が協働する際の障壁となるべきものではない。これらの違いを理解することは、教師自身が知識と視野を広げるための重要な目標になるかもしれない。