医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Writing Multiple Choice Questions-Has the Student Become the Master? (Teach Learn Med 2022)

Pham H, Court-Kowalski S, Chan H, Devitt P. Writing Multiple Choice Questions-Has the Student Become the Master? Teach Learn Med. 2022 May 1:1-12. Epub ahead of print.

背景:多肢選択問題 (MCQ)は、医学課程でよく用いられる評価形式である。教育者にとっての課題は、質の高い問題を効率的に作成することである。そのため、各教員が毎年繰り返し出題することが一般的である。本研究では、教員用アイテムバンクに追加する新しいアイテムの候補として、学生が作成したアイテムと臨床医が作成したアイテムの質を比較することを目的としている。

方法:アデレード大学の医学部4年生と5年生に模擬試験への参加を呼びかけた。参加者はまず、MCQの解答・作成方法に関するオンライン指導を受け、その後、模擬試験で使用するオリジナルMCQを1つずつ提出した。模擬試験は、各年次レベルの180問の模擬試験を2つ作成した。各模擬試験は、学生が作成した90項目と臨床医が作成した90項目から構成されている。参加者は各項目の作者について盲検化された。各項目は、項目の難易度と識別力、項目作成上の欠陥(item-writing flaws; IWF)と非機能性ディストラクター(non-functioning distractors; NFD)の数、および認知技能レベル(ブルーム分類法の修正版を使用)について分析された。

結果:試験期間中、89名と91名の学生がそれぞれ4年生と5年生の試験を受けた。臨床医が作成したものに比べ、学生が作成したものは、認知スキルや難易度が低い傾向があった。また、IWF(2〜3.5倍)、NFD(1.18倍)の割合が有意に高かった。しかし、臨床医が作成した項目と同等かそれ以上の識別力を有していた。

結論:学生が作成したMCQ項目は,他の項目で劣るにもかかわらず,臨床医が作成した項目と同等の識別力を持つことができる。学生が作成した項目は、教員用アイテムバンクの材料となり得るが、総括的なセッティングで使用するにはいくつかの障壁が存在する。アイテムの全体的な質は、著者に関係なく、依然として最適とは言えない。このことは、項目作成における教員の継続的なトレーニングの必要性を浮き彫りにしている。