医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Supporting medical students to support peers: a qualitative interview study (BMC Med Educ 2022)

Graves J, Flynn E, Woodward-Kron R, Hu WCY. Supporting medical students to support peers: a qualitative interview study. BMC Med Educ. 2022;22:300.

背景:学生は、他の学生の心理的苦痛に最初に気づき、対応することができるかもしれない。ピア・サポートは、精神疾患率が高いにもかかわらず助けを求めることに消極的な医学生を克服することができる。しかし、ピア・サポート・プログラムが採用されているにもかかわらず、学生への影響を示す証拠はほとんどない。ピア・サポート・プログラムは、医学生ピア・サポートを肯定的に受け入れ、とらえていると想定しているのかもしれない。我々は、学生にピア・サポートの経験や見解について尋ねることで、このような仮定を探った。

方法:対照的な2つのメディカルスクールの医学生10名を対象に、ピア・サポートの体験とピア・サポートに対する見解を探る定性的半構造化インタビューを行った。構成主義的な立場から、インタビュー記録に対してテーマ分析を行った。

結果:参加者のピア・サポートの経験、サポートを提供する際の懸念、ピア・サポートにおける学生の役割に関する見解という3つのテーマが同定された。参加者は、仲間の苦痛の兆候を容易に想起した。出会いはその場限りの非公式なものであり、友情に基づく関係や、同じクラスや職場に同居していることによって生じたものであった。サポートの開始や提供に関する懸念には、専門知識の欠如、機密保持、メンタルヘルス診断によるスティグマ、役割の境界の不明確さなどがあり、ピア・サポートにおける学生の役割の受容に影響を及ぼすものであった。

結論:本研究は、ピア・サポートを可能にする、あるいは妨げる社会的関係の重要性を強調した。医学生時代に培われた人間関係は、医療従事者間の同僚関係を予期させるものかもしれない。それにもかかわらず、ピア・サポートの役割を進んで引き受けようとする学生は一部に過ぎない。我々は、どのような学生でも提供できるインフォーマルなピア・サポートを促進するための戦略と、選ばれた学生に対するフォーマルなサポート役を促進するための戦略の違いを提案する。今後、ピア・サポートを受ける学生、提供する学生双方に与える影響に焦点を当てた研究が必要である。