医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Attachment anxiety and depressive symptoms in undergraduate medical students : The mediating role of emotion regulation strategies (Perspect Med Educ 2022)

Colonnello V, Fino E, Russo PM. Attachment anxiety and depressive symptoms in undergraduate medical students : The mediating role of emotion regulation strategies. Perspect Med Educ. 2022 May 19. Epub ahead of print.

背景:医学生うつ病のリスクが高いことがいくつかの研究で報告されている。うつ病に対する脆弱性にはばらつきがあるにもかかわらず、医学生うつ病リスクにおける個人差の役割についてはほとんど調べられていない。医学生集団以外の研究では、愛着スタイル (attachment style)や感情調節 (emotion regulation)の個人差がうつ病への脆弱性に関与していることが示されている。
・本研究では、医学生抑うつ症状が、学生の不安な愛着スタイルの違いや感情調整方略へのアクセス減少の認識とどの程度関係しているかを調査する。

方法:医学部2年生を対象に、愛着スタイル、感情調節の困難さ、抑うつ症状について、オンライン質問紙調査を実施した。

結果:390名の医学生のうち、267名がアンケートに参加した。安全な愛着が高いほど、抑うつ症状は少なかった。医学生の不安な愛着スタイルと感情調節の困難さは、抑うつ症状と有意に関連していた。自分自身の否定的な感情から離脱する戦略を用いることの困難さは、不安な不安型愛着の2つの次元(承認欲求と人間関係へのこだわり)の抑うつ症状への影響を部分的に媒介した。

結論:医学生抑うつ症状には、不安な愛着スタイルと感情調節方略へのアクセス制限が関与している。これらの知見は、うつ病のリスクの早期発見と介入プログラムのために、医学生の愛着スタイルと学生が認識している感情調節戦略へのアクセスを認識する必要性を強調するものである。