医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Applying a multidimensional approach to understanding clinical conversations: A deprescribing case study in primary care (Patient Educ Couns 2022)

Richard C, Lussier MT, Roberge D, Lavoie MÈ, Turner J. Applying a multidimensional approach to understanding clinical conversations: A deprescribing case study in primary care. Patient Educ Couns. 2022 Feb 9:S0738-3991(22)00049-0. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、プライマリ・ケア(PC)における脱処方 (deprescribing)に関する臨床会話に適用される複数のコーディング手法の貢献度を説明し評価することである。

方法:録音された1件の診察に対して、7つの異なるコーディングアプローチを適用した。ベンゾジアゼピン(BZD)の脱処方に関連する会話のみを対象とし、内容、相互作用、議論、接続詞、遷移、脱処方への志向、脱処方アルゴリズムとの一致をコーディングした。また、談話マップにより、やりとりの展開が示された。

結果:脱処方の会話は31の発話 (utterance)に分かれ、オープニング(n = 6)、展開(n = 16)、クロージング(n = 9)の3つのセグメントに分けられた。最後の2つのセグメントでは、家庭医が優勢で、彼女の発話のほとんどがBZDの脱処方に好意的であったのに対し、患者の発話は最初の2つのセグメントでは概して不利であった。発話に付与されるコードの数は、コーディングのアプローチによって様々であった。このマップは、各発言が異なるレンズを通してどのように見ることができるかを示しており、脱処方の会話のダイナミクスと複雑さを明らかにするものである。

結論:この多次元的な方法論的アプローチは、定量的または定性的な結果の提示方法を提案し、そのマップは、このPC環境における脱処方プロセスの包括的な評価を提供するものである。この新しい多次元的なコーディング手法は、臨床コミュニケーションにおける他の様々なトピックに適用できる可能性を持っている。