医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Challenges facing standardized patients representing equity-deserving groups: insights from healthcare educators (Med Educ 2023)

Sibbald M, Last N, Keuhl A, Azim A, Sheth U, Khalid F, Banji F, Geekie-Sousa A, Yilmaz DU, Monteiro S. Challenges facing standardized patients representing equity-deserving groups: insights from healthcare educators. Med Educ. 2023 Mar 29. Epub ahead of print.

背景:医療専門職のトレーニングプログラムでは、公平性を求めるグループを学習や評価の機会に組み込むために、模擬患者(SP)プログラムへの依存度が高まっている。しかし、最適なアプローチについてはほとんど知られておらず、多くのSPプログラムがこうしたニーズの高まりに対応できていないのが現状である。本研究では、医療従事者がSPプログラムを通じて、公平性を求めるグループに関連するカリキュラム内容を提供する際に得られる知見を調査した。

方法:2021年に、SPベースの教育の作成または管理に携わる14人のキー・インフォーマントにインタビューした。逐語録を反復コーディングプロセスで分析し、質的コンテンツ分析手法に支えられ、社会学的翻訳とシミュレーションデザインという2つの理論的枠組みから情報を得ている。データ収集と分析のサイクルは、既存の理論に沿ったテーマが構築され、教育者やカリキュラムの指導者に情報を提供するのに十分な関連性と堅牢性を持つ経験的データに基づくことができるまで繰り返された。

結果:(1) SPが脆弱であるための安全性の創出、(2) 誰が演じるかよりも幅広い問題としての忠実性、(3) 公平性に値するグループとの関わり、の3テーマが構築された。また、伝統的に疎外されてきたグループと関わるSPワークは、再トラウマ化の危険性があり、(1) SPを採用する際のインフォームド・コンセント、(2) 役割描写と生活体験の分離、(3) 学習者と進行役の十分な準備、(4) SPのタイムアウトと逃避の創出、(5) コミュニティのサポートと脱ロールの機会構築の重要性を強調する。

結論:SPプログラムは、公平性を求めるグループの味方であり、支持者であり、教育開発プロセスの初期段階から協力し、ガバナンスを共有することができる立場にある。SPプログラムは、カリキュラムのリーダーシップの支持、コミュニティ・パートナーとの関係構築、教育コンテンツの共同創造と共同提供の促進、シミュレーションに安全性を組み込むことによって、公平性に配慮したグループのカリキュラムコンテンツの提供を支援することができる。