医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Differential effects of team-based learning on clinical reasoning (Clin Teach 2021)

Ong KY, Ng CWQ, Tan NCK, Tan K. Differential effects of team-based learning on clinical reasoning. Clin Teach. 2021 Nov 8. Epub ahead of print.

背景:臨床推論(Clinical Reasoning: CR)とは、患者ケアのために情報、知識、文脈的要因を統合する能力のことである。神経学的なCRに対するチームベースの学習(TBL)の効果を検討した研究は少ない。本研究では,神経解剖学的局在化(NL)と神経学的緊急事態(NE)のCRを教えるための簡易TBL(sTBL)をインタラクティブな講義(IL)と比較し、有効なスクリプトコンコーダンス・テスト(SCT)を用いて評価した。

方法:シンガポールのYong Loo Lin School of Medicineの卒前3年生と5年生を対象に、ランダムに2つのグループに分けてクロスオーバー試験を行った。グループ1はsTBLを用いたNEとILを用いたNLを教え、グループ2はsTBLを用いたNLとILを用いたNEを教えた。教育は3時間かけて順次行われ、その後すぐにSCTが行われた。主要評価項目は、NEとNLをsTBLで教えた場合とILで教えた場合のSCTスコアの平均値の差であった。

結果:合計179名の学生(グループ1 n = 81、グループ2 n = 98)が参加した。sTBLで教えた学生のNLのSCTスコアの平均値は、ILに比べて有意に高かった(64.8%対61.7%、平均差3.1%、95%信頼区間[CI]0.6%-5.5%、p=0.013)、効果量は0.38であった。NEのSCTスコアの平均値は、sTBLで教えた学生とILで教えた学生の間で同様であった(66.6%対67.0%、平均差-0.4%、95%信頼区間-2.2~3.1%、p=0.75)。

結論:NLの指導においてはsTBLの方がILよりも優れていたが,NEの指導においては両手法とも同程度であった。TBLは、問題表現、仮説生成、illness script選択などの診断的推論を伴う、より複雑な神経学的トピックの教育に適していると思われる。