医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Improving medical residents' self-assessment of their diagnostic accuracy: does feedback help? (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2021)

Kuhn J, van den Berg P, Mamede S, Zwaan L, Bindels P, van Gog T. Improving medical residents' self-assessment of their diagnostic accuracy: does feedback help? Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Nov 5. Epub ahead of print.

背景:医師が自分の診断精度を正しく見積もれない場合、すなわち不正確な診断キャリブレーションを行う場合、診断エラーや過剰検査が発生する可能性がある。以前の研究では、医師が過去の診断に関するフィードバックを受けると、簡単な症例に対する診断キャリブレーションが改善することが示された。そこで、難しい症例の場合にも、このフィードバックによって診断キャリブレーションが改善されるかどうかを検討した。

方法:69名の総合診療レジデントが、2つの条件のいずれかにランダムに割りあてられた。フィードバック条件では、症例を診断し、自分の診断に対する自信、投入した精神的努力、症例の複雑さを評価した後、正しい診断結果を見せた(フィードバック)。これを12例繰り返した。コントロール条件の参加者は、フィードバックを受けずに同様の作業を行った。キャリブレーションの分析は、(1)絶対精度(診断精度と自信度の差の絶対値)と、(2)バイアス(自信度から診断キャリブレーションを差し引いた値)の2つの観点から行った。

結果:キャリブレーションの測定値には、2条件間で差はなかった(絶対精度 p = 0.204、バイアス p = 0.176)。ポストホック分析によると、正しく診断された症例(参加者が自信を持っているか持っていないかのどちらか)では、フィードバック条件でのキャリブレーションはコントロール条件よりも精度が低かった(p = 0.013)。

結論:本研究は、診断パフォーマンスに関するフィードバックが、より困難な症例に対する医師のキャリブレーションを改善しないことを示している。一つの説明として、参加者は自分の間違いに直面し、その後、症例が正しく診断されたとしても自信の評価を下げてしまったのではないかと考えられる。このことは、診断ミスやmaltreatmentを防ぐために重要な診断キャリブレーションを改善することがいかに難しいかを示している。