Viljoen CA, Millar RS, Manning K, Hoevelmann J, Burch VC. Clinically contextualised ECG interpretation: the impact of prior clinical exposure and case vignettes on ECG diagnostic accuracy. BMC Med Educ. 2021;21:417.
背景:心電図はしばしば臨床的な背景なしに教えられる。しかし、臨床現場では、臨床症状を知らずに心電図を解釈することはほとんどない。我々は、心電図診断の正確さが、臨床的背景の知識および/または心電図診断への事前の臨床曝露に影響されるかどうかを調べることを目的とした。
方法:医学部の4年生と6年生、およびレジデントを対象に、2つの多肢選択問題(MCQ)とアンケートを実施した。テスト1は25枚の心電図で構成され、case vignetteは含まれていなかった。直後に行ったテスト2では、心電図25枚とMCQを用いて質問を行ったが、心電図ごとにcase vignetteを提示した。その後、参加者はアンケートで、テストされた25の条件のそれぞれを、過去の臨床クラークシップ中に最後に見たのはいつなのかを答えた。対象となる参加者は、テストとアンケートの両方に回答した。165名の参加者の最小サンプルサイズは、5%のタイプ1エラーを考慮して、テストスコアの平均差7%を検出するための80%の検出力を提供すると推定された。
結果:本研究では、176名の参加者(下級生67名[38.1%]、上級生55名[31.3%]、レジデント54名[30.7%])が参加した。心電図の事前暴露はトレーニングレベルに依存し、すなわち、下級生はテストされた条件の52%、上級生は63.4%、レジデントは96.9%に暴露された。全体として、臨床的背景を知っている場合には、心電図診断の精度がわずかに向上した(Cohen's d = 0.35, p < 0.001)。診断精度の向上は、レジデント(Cohen's d = 0.59, p < 0.001)の方が、上級生(Cohen's d = 0.38, p < 0.001)や下級生(Cohen's d = 0.29, p < 0.001)よりも顕著であった。参加者全員が、事前の臨床研修中にその病態を見たことがあると答えた場合は、case vignetteの提示があっても(オッズ比[OR]1.46、95%信頼区間[CI]1.24~1.71)もなくても(OR 1.58、95%CI 1.35~1.84)も、正しい心電図診断を行う可能性が高かった。
結論:実際の患者の経験を含まないclinical vignetteを用いた心電図解釈は、事前の臨床曝露ほど心電図診断精度に大きな影響を与えないようである。しかし、臨床研修中に心電図に触れる機会は、ほとんどがopportunisticであり、行き当たりばったりである。したがって、心電図トレーニングは、経験的な学習だけに頼るのではなく、他の正式な指導方法で補うべきである。