Yamauchi K, Hagiwara Y, Iwakura N, Kubo S, Sato A, Ohtsuru T, Okazaki K, Okubo Y. Using peer role-playing to improve students' clinical skills for musculoskeletal physical examinations. BMC Med Educ. 2021;21:322.
背景:日本の医学生の伝統的なカリキュラムには、筋骨格系 (musculoskeletal; MSK)の診察・臨床推論・診断のスキルを身につけるための十分な機会が含まれていない。そのため、医学生やresidentがMSKの臨床技能を向上させるための効果的なプログラムが必要である。本論文は、mini clinical evaluation exercise (mini-CEX)を用いて、ピア・ロールプレイング・シミュレーションプログラムに参加した医学生の臨床技能を評価することを目的としている。
方法:参加者は、整形外科のクリニカル・クラークシップを初めて修了する90名の女子医学生であった。彼らは2つのグループに分けられた。シミュレーション群は、MSK症例に焦点を当てたlow-fidelityなシミュレーションのロールプレイ、コース監督者との構造化されたデブリーフィング、および初日の自己反省会に参加した (n = 64)。コントロール群は、クラークシップのスケジュールがランダム化されているため、ロールプレイに参加しなかった (n = 26)。介入の2日目には、参加者全員のMSK外来でのパフォーマンスを観察し、mini-CEXを用いて評価した。シミュレーション群とコントロール群の間でmini-CEXスコアを比較した。統計解析にはWilcoxon rank-sum testを用いた。
結果:mini-CEXの身体診察、臨床推論と診断、総合的な臨床コンピテンシーのスコアは、シミュレーション群が対照群よりも有意に高かった (p < 0.05。身体検査:p = 0.014、臨床推論:p = 0.042、総合:p = 0.016)。これらの知見は、ピア・ロールプレイング・シミュレーションプログラムに参加した医学生は、実際のMSK外来患者との遭遇において、身体診察、臨床推論と診断、および総合的な臨床コンピテンシーの向上を経験できることを示唆している。
結論:mini-CEX評価を通して、我々のピア・ロールプレイング・シミュレーションプログラムに参加した医学生は、臨床技能が向上したことが示された。low-fidelityなシミュレーションと実践的な教育機会としてのピア・ロールプレイングは、教育者が、臨床現場で筋骨格系の身体診察と臨床的推論と診断における医学生の能力を磨くことを可能にする。