医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Using Individual Residents' Learning Trajectories to Better Understand the Impact of Gaps in Practice (Acad Med 2021)

Scott S, Van Eyk N, Eva K. Using Individual Residents' Learning Trajectories to Better Understand the Impact of Gaps in Practice. Acad Med. 2021 Aug 3. Epub ahead of print.

背景:学習を最適化するためには、医療従事者のトレーニングプログラムは、実践の深さ(特定のスキルをより多く経験すること)と実践の広さ(さまざまな活動に経験を広げること)のバランスを適切にとる必要がある。特定のスキルセットのトレーニングが、異なるスキルセットに焦点を当てた期間にどのような影響を受けるかを理解することで、カリキュラムや評価デザインを改善し、トレーニングの効率性とケアの有効性を高めることができる。この目的のために、学習曲線を用いて、長期間の練習後の手術のパフォーマンスと、手術トレーニングの空白期間後のパフォーマンスを比較した。

方法:Dalhousie産婦人科プログラムの毎日の手術評価をレトロスペクティブに分析し、学習曲線を作成した。学習の奇跡 (learning trajectory)のばらつきを調べることに加えて、手術評価を受けていない2ヶ月間のレジデントのスコアと、少なくとも1回は評価を受けた2ヶ月間の研修医のスコアを比較することで、ギャップの影響を系統的に評価した。

結果:33人のレジデントの10年間の4,416点のスコアを分析した。軌跡とピークパフォーマンスが特定された。レジデントは、評価を受けてから3カ月目の月(平均 = 4.40、95%CI = 4.33-4.46)に、少なくとも2カ月間手術室を離れていた期間の後の月に比べて(平均 = 4.21、95%CI = 4.13-4.29、P < 0.01、d = 0.7)、良い成績を収めた。しかし、最大のパフォーマンスは、レジデントが3カ月連続して研修を受けた回数(r = 0.25)よりも、研修の空白期間を経験した回数(r = 0.50)のほうが強く関係していた。

結論:レジデントごとに異なる成長のパターンが存在する。手術の練習や評価から離れた時間は、短期的な成績にはマイナスの影響を与えたが、長期的な学習の軌跡は改善される可能性がある。この結果は、間隔を空けた教育の価値を示すものであり、スキルベースの長期的なトレーニングプログラムを設計するうえで重要である。