医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Students' perceptions of learning environment and their leisure-time exercise in medical school: Does sport background matter? (Perspect Med Educ 2020)

Babenko O, Mosewich A, Sloychuk J. Students' perceptions of learning environment and their leisure-time exercise in medical school: Does sport background matter? Perspect Med Educ. 2020 Apr;9(2):92-97. doi: 10.1007/s40037-020-00560-w. PMID: 32016812; PMCID: PMC7138776.

背景:学生のwellbeingを向上させるためのメディカルスクールの取り組みの有効性は、学生が学習環境をどのように認識しているかにかかっている。本研究の目的は、学生の自律性、コンピテンス、関係性 (relatedness)といった基本的な心理的欲求をサポートするものとして医学プログラムを認識する際に、学生のスポーツ経歴が寄与しているかどうかを明らかにすることであった。また、スポーツ経歴と学生のメディカルスクールでの余暇運動との関係についても検討した。

方法:カナダの大規模大学の4年制医学プログラムに在籍する学生を対象に,オンライン質問票を用いて定量的データを収集した。200名の学生が、本研究で使用した質問項目に完全に回答した。分散分析と相関分析を用いて、学生のスポーツ経歴、学習環境に対する認識、メディカルスクールにおける余暇運動の関係を調べた。

結果:スポーツ経験のない学生と比較して、チームスポーツの経験がある学生は、医学プログラムにおいて、関連性の必要性がより高いレベルで満たされると認識していた。高いレベルで(競技レベル)スポーツを行っている学生は、低いレベルで(レクリエーションレベル)スポーツを行っている学生に比べて、医学プログラムがより自律性をサポートするものであると認識していた。スポーツ経歴の有無にかかわらず、医学生の余暇運動への参加は年々減少していた。しかし、スポーツ経歴を持つ学生は、スポーツ経歴を持たない学生よりも、メディカルスクールでの余暇運動への関与度が高かった。

結論:今回の結果から、スポーツ経歴は、コンピテンスではなく、自律性と関連性のニーズをサポートする学習環境であるとの学生の認識と関連しており、メディカルスクールでの余暇運動と関連していることがわかった。これらの関連性は、メディカルスクール入学直後から学生のバーンアウトを防ぐためのメディカルスクールのカリキュラム上の取り組みに役立つと考えられる。