医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Guilt and Burnout in Medical Students (Teach Learn Med 2021)

Greenmyer JR, Montgomery M, Hosford C, Burd M, Miller V, Storandt MH, Lakpa KL, Tiongson C. Guilt and Burnout in Medical Students. Teach Learn Med. 2021 Mar 15:1-9. Epub ahead of print.

背景:バーンアウトは、医学生に広く見られ、否定的な感情、行動、結果と相関している。共感 (empathy)は医学生にとって望ましい特性であり、バーンアウトの減少と相関している。罪悪感の概念 (the concept of guilt)は、他者のwell-beingを気遣うことと密接に関連している。したがって、罪悪感は共感と関連している可能性がある。過剰な罪悪感は、内在化した苦痛、快感消失などの症状のリスクを高め、バーンアウトと関連する可能性がある。医学生における病的な罪悪感 (pathogenic guilt)とバーンアウトの関係は不明である。病的な罪悪感が医学生に存在し、バーンアウトと共感の両方に関係するという仮説を立てた。

方法:ある1つのメディカルスクールの全学生を対象とした、横断的な調査研究を行った。データは2020年2月に収集した。Oldenburg Burnout Inventory (OBLI), Toronto Empathy Questionnaire (TEQ), Interpersonal Guilt Questionaire-67 (IGQ-67)を用いた。IGQ-67の修正版を用いて、病的な罪悪感の4つの下位尺度 (生存罪悪感 survival guilt、分離罪悪感 separation guilt、全能罪悪感 omnipotence guilt、自己嫌悪罪悪感 self-hate guilt)を測定した。本研究のデータ分析 (スクリーニング、前提条件の評価、記述統計、信頼度、one-way ANOVA、相関係数など)は、SPSS version 26を用いて行った。

結果:300人のうち、168人(56.0%)の学生が本研究に参加した。病的な罪悪感のうち、生存、全能、自己嫌悪のクラスはバーンアウトと正の相関があった。共感は、生存と全能という2つの罪悪感と相関していた。共感はバーンアウト (離脱)と逆相関していた。

結論:病的な罪悪感は、医学生バーンアウトの一因である可能性がある。罪悪感は医学生バーンアウトの予防と治療の対象とすべきである。