医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Work-life balance in medical students: self-care in a culture of self-sacrifice (BMC Med Educ 2021)

Picton A. Work-life balance in medical students: self-care in a culture of self-sacrifice. BMC Med Educ. 2021;21:8.

背景:ワークライフバランス (work-life balance)は、医師のwellbeingにとって重要な要素であり、結果として、キャリア決定にとって中心となる要素である。General Medical Councilのガイダンスでは、思いやりのあるセルフケアの一部として、ワークライフバランスの重要性が指摘されている。学業と臨床の業務負荷がストレス、不安、バーンアウトに寄与しうる場合、セルフケアを学ぶことは、学部生として始めるべきである。

方法:英国バーミンガム大学の3〜5年生の医学生を対象とした、sequential mixed methods研究である。医学生 (n = 145)は、自由記述の回答でワークライフバランスを定義し、質問紙で現在のワークライフバランスを自己評価した。これに続いて、医学生のサブサンプル (n = 44)が、探索的な個人ミニインタビューに参加した。

結果:ワークライフバランスは、広範かつ多要素的な (multifactorial)概念であることが明らかになった。質問紙回答者は、その定義のなかで、楽しみ、仕事の用件の充足、時間管理を非常に頻繁に参照していた。インタビュー参加者は、ピアグループ、学習スキル、家族、プロフェッショナルの文化などの追加的な影響要因を強調していた。医学生は卒業後に仕事に大きくシフトすることを期待しており、患者ケアを提供する際のストレスについて懸念を表明している。42% (n = 60)の医学生が実習中にワークライフバランスのサポートを受けたと感じていたが、そのほとんどが家族や友人からのサポートであった。ほとんどの医学生は、大学や病院のスタッフから、ワークライフバランスに関するサポートやアドバイスを受けなかった。

結論:セルフケアやワークライフバランスは、医学生や医師が生涯学習に対処し効果的なケアを提供するにあたって不可欠なものである。メディカルスクールのスタッフは、特に重要な移行期に、医学生がこれらのスキルを身につけられるように、積極的に支援すべきである。学習スキルや時間管理を対象とした早期介入は有益かもしれない。さらなる研究では、1-2年目の医学生を対象に含めること、および異なる機関を比較することが必要であろう。