Lasser EC, Kim JM, Hatef E, Kharrazi H, Marsteller JA, DeCamp LR. Social and Behavioral Variables in the Electronic Health Record: A Path Forward to Increase Data Quality and Utility. Acad Med. 2021 Mar 16. Epub ahead of print.
背景:健康の社会的・行動的決定要因 (social and behavioral determinants of health; SBDH)は、個人の健康に影響を与える重要な要因であるが、電子カルテ (EHR)では構造的かつ体系的な方法で日常的に収集されていない。本研究の目的は、(1) SBDHの概念と理論的枠組みを検討し、(2) SBDH情報をEHRで利用する際の障壁と促進要因、およびデータ収集の優先順位に関する関係者の見解を引き出すことにより、EHRでのSBDHデータ収集を体系的に実施するための推奨事項を作成することである。
方法:著者らは、重要な社会的・行動的変数を特定するためにSBDHフレームワークをレビューし、2018年3月から5月にかけて、ジョンズ・ホプキンス・ヘルスシステムの臨床医および研究者17名とフォーカスグループおよびインタビューを行った。トランスクリプトをコード化し、共通テーマを抽出して、SBDH情報へのアクセスの障壁と促進要因を理解した。
結果:著者らは、フレームワークはSBDHが健康アウトカムに影響を与えることに同意したが、モデルのコンセンサスがないため、SBDHデータ収集の優先順位を決めるための具体的な推奨事項の策定が複雑になっていることを明らかにした。研究参加者は、SBDH情報と個人の健康の重要性を認識し、患者が報告する情報を収集すべきであることに同意したが、臨床医と研究者は、どの変数が最も重要であるかについて異なる優先順位を挙げた。また、SBDHデータを収集しても、データが不完全であったり、不明瞭であったり、整合性が取れていないことが多く、SBDHによる健康障害に対する研究者と臨床医の対応に影響を与えていると参加者は報告した。
結論:医療機関は、影響力は大きいが限られたSBDH変数をEHRで収集するための体系的な実施方法を特定し、優先順位をつける必要がある。これらの変数は、ケアに影響を与え、変更が可能なものでなければならず、収集は臨床ワークフローに組み込まれるべきである。SBDH変数のデータ収集を改善することで、SBDHが健康アウトカムにどのような影響を与えるかについての理解が深まり、早急な対策が必要な根本的な健康格差にうまく対処できるようになりうる。
個人的所感:SDHではなく、SBDHというtermを用いて、調査したpaper。実践レベルでどうしていくのか…ということが垣間見えて、なかなか興味深いリサーチでした。