医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Mistaken Identity: Frequency and Effects of Gender-Based Professional Misidentification of Resident Physicians (Acad Med 2021)

Berwick S, Calev H, Matthews A, Mukhopadhyay A, Poole B, Talan J, Hayes MM, Smith CC. Mistaken Identity: Frequency and Effects of Gender-Based Professional Misidentification of Resident Physicians. Acad Med. 2021 Mar 16. Epub ahead of print.

背景:あらゆるレベルの医療従事者を評価すると、女性医師が医師ではないと誤認されるという、性別に基づく役割誤認のエピソードが明らかになった。本研究の著者らは、この現象とその影響を調査し、residentが役割の誤認を経験する頻度と、それが彼らの経験と行動に与える影響を定量化した。

方法:2018年に著者らは、単一・大型・都市型・三次学術医療機関において、内科、外科、救急医療のresidentを対象とした、横断的な調査研究を行った。調査ツールは、自己申告による職業誤認の頻度と影響の両方を把握した。著者らは、t検定と線形多変量回帰を用いて、結果を分析した。

結果:調査票を受け取った260名のresidentのうち、186名(72%)が回答し、著者らは182名の回答を分析した。女性回答者85名全員 (100%)が、職務経験の中で少なくとも一度は患者やスタッフから非医師と誤認されたことがあると回答したのに対し、男性回答者97名では49%であった。その182人のうち、35%の女性が月に9回以上、患者から誤認されたと回答したのに対し、男性は1%であった。アンケートに回答した85人の女性医師のうち、誤認識の結果、38%が怒りを感じ、36%が仕事に満足していないと感じたのに対し、男性ではそれぞれ7%と9%であった。役割の誤認に対して、51%の女性が服装を変え、81%が自己紹介の仕方を変えたのに対し、男性ではそれぞれ7%と37%であった。

結論:本研究の調査結果は、女性医師は男性医師よりも非医師として誤認される可能性が高く、役割の誤認は性別に偏った心理的・行動的反応を引き起こし、それが職業上重要な影響を及ぼす可能性があることを示している。