医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

From Burnout to Wholehearted Engagement: A Qualitative Exploration of Psychiatry Residents' Experience of Stress (Acad Med 2021)

Corgan S, Winkel AF, Sugarman R, Young JQ. From Burnout to Wholehearted Engagement: A Qualitative Exploration of Psychiatry Residents' Experience of Stress. Acad Med. 2021 Jan. Epub ahead of print. PMID: 33410608.

背景:医師のバーンアウトが医学教育全体に蔓延しており、多くの悪影響を及ぼしている。バーンアウトの蔓延と負の影響を考慮すると、residentがどのようにストレスを経験して対処しているのかを理解し、より効果的な介入策の開発に役立つ説明モデルを開発することが急務である。

方法:質的な構成主義的grounded theory approachを用いて、2019年3月から4月にかけて、精神科residentに、ストレスの経験とその対処法について尋ねた半構造化インタビューを実施した。ニューヨーク州グレンオークスにあるノースウェルヘルスのザッカーヒルサイド病院の1〜4年目のresidentを招待した。2人の著者が同定されていないトランスクリプトを、独立して帰納的にコード化した。データを分析しテーマの構築をサポートするために、コンスタントな比較アプローチを用いた。14回のインタビューの後、理論的飽和が確認された。

結果:著者らは、residentがどのようにしてストレスに対処しているのか、またバーンアウトになる傾向があるのか、それとも心を込めて関与する (wholehearted engagement)傾向があるのかについて、説明モデルを構築した。モデルには3つのテーマが含まれていた、すなわちセルフケア、仕事上の人間関係、意味づくりである。セルフケアは、他者と過ごす時間を含むものであり、つながりと帰属感を提供し、医師の成長するアイデンティティを強化した。職場での対人関係は深くresidentの経験に影響を与えた。同僚や監督者との正の関係は、自信と忍耐力を高めた。負のロールモデルや対立は不全感の原因となった。そして最後に、困難を目の前にしたときに道徳的価値観を検討することで視点を変え、意味を構築する能力は、ストレスにうまく対応したというresidentにとって重要であった。residentは、個人的な心理療法を、意味付けを促進するための特に重要な戦略であると認識していた。

結論:本研究の知見は、研修プログラムが、どのようにすれば、residentがストレスに対処してバーンアウトから心を込めた取り組みへと移行するのを手助けできるのかについての指針を提供するものである。戦略としては、研修の初期段階でセルフケアの障壁を減らし、支援を受けられるようにすること、同僚とのつながりを促進するスペースを作ること、コンフリクトに対処するためのトレーニングを提供すること、意味づくり活動への参加を促進することなどが挙げられる。