医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Targeting Causes of Burnout in Residency: An Innovative Approach Used at Hennepin Healthcare (Acad Med 2021)

Quirk R, Rodin H, Linzer M. Targeting Causes of Burnout in Residency: An Innovative Approach Used at Hennepin Healthcare. Acad Med. 2021 Jan 25. Epub ahead of print.

背景:米国では、医師のバーンアウト率が高い。医師やresidentに対するバーンアウト削減戦略の成功についての報告がいくつかあるなか、一方で、residentについて問題を縦断的にアプローチした戦略はほとんどない。

方法:2014年から2019年にかけて、睡眠、個人的時間、professional fulfillment、関係性への影響、プログラムへの認識、同僚からのサポートなどresidentのバーンアウトに関連する要素の評価のため、調査を行った。ミネソタ州ミネアポリスセーフティネット病院であるヘネピン・ヘルスケアでは、著者らは、内科residentから毎年データをとるため、および研修期間中のワークライフに対処する継続的な改善方法を開発するためのevidenceに基づいた概念フレームワークを用いるための、再現性のあるプロセスを作成した。介入内容には、必須のライフイベントに対する補償、residentの業績を祝うニュースレター、時間外のコンサルトポケベルコールの廃止、病棟のsenioir residentのextra day off、夜間チームへのケアパッケージの配布などが含まれていた。

結果:2014年から2019年の毎年について、40/66 (60.6%)から62/73 (84.9%)のresidentが調査を完了した (平均回答率は6年間で72.1%)。調査結果はresidentと様々なフォーマットでシェアされ、フィードバックが求められ、バーンアウトの削減が、プログラム指導者の優先事項であることが示された。毎年、高いprofessional fulfillmentスコアが記録された。バーンアウトの自己申告率は25%-35%だった。共感、睡眠障害、同僚のサポートの認知において、有意な改善が見られた。

結論:著者らはバーンアウトを最小限にする計画をつくったが、これは次のようなevidenceベースのドメインを含んでいる: 仕事量、コントロール、努力と報酬のバランス、ワークライフバランス、公平性、価値観、サポート、男女平等、道徳的苦痛、道徳的障害。現在進行中のさらなる介入には、講義のためのprotected time、トラウマを考慮したケアトレーニング、職場の人種差別への取り組みなどがある。著者らは、residentと教員のためのwell-beingの統合された文化を実現し、効率的・効果的・公正な学習環境を育成し、バーンアウトを減らし、最終的にはバーンアウトを排除することを目指している。

個人的所感:Acad MedのINNOVATION REPORTより。このコーナーは、リサーチとしては発展途上だとしても、現在進行形のプロジェクトについて学べるので、なかなか面白いです。「目的」で述べられている通り、burnoutやwell-beingについての領域のリサーチは、longituidinalなリサーチが今後必要なように感じます。