医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Learner Conceptions of Health Advocacy: "Going Above & Beyond" or "Kind of an Expectation" (Med Educ 2021)

Hubinette MM, Scott I, van der Goes T, Kahlke R. Learner Conceptions of Health Advocacy: "Going Above & Beyond" or "Kind of an Expectation". Med Educ. 2021 Mar 16. Epub ahead of print.

背景:ヘルスアドボカシーは、医師のコンピテンシーフレームワークの中核を成す要素である。しかし、アドボカシーは明確に定義されておらず、コンテクストによって理解され、実施されている内容も様々である。学習者はコンテクストを行き来するため、この役割を定義することを困難にしているが、しかしこの役割の中心となりうる緊張関係についての洞察を提供するユニークな立場にある。本研究の目的は、様々な学習コンテクストを持つ学習者の間で、ヘルスアドボカシーの概念における緊張感と輪郭をマッピングすることである。

方法:本研究では、構成主義的なグラウンデッド・セオリーを用いて、本学のdistributed programsに所属する9名の医学生と20名の家庭医学、小児医学、内科学のresidentにインタビューを行った。データは、テーマとテーマ間の関係を確立するために、オープンコーディング、フォーカスコーディング、理論的コーディングを同時に用いて分析した。

結果:学習者は、ヘルスアドボカシーを2つの重なるが異なる方法で理解していた。すなわち、一連の行動として、また、追加の努力・時間・リスクを通じて「それ以上のことをする (going above and beyond)」という感覚としてである。この2つの概念は重なり合い、しばしば緊張関係にあった。"Going above and beyond "は、識別可能なアドボカシー行動と一致することもあれば、コンピテンシーフレームワークにおけるヘルスアドボカシーの定義とは一致せず、"Patient-Centred Care "とより密接に一致することもあった。

結論:本研究の知見から、学習者はヘルスアドボカシーにはコンテクストを超えて適用できる普遍的な行動では捉えられない重要な要素があると認識していることが示唆された。"Going above and beyond"は、患者中心のケアに対する社会文化的な障壁に取り組み、より良いシステムと個人のためのより良いケアを目指して努力している感覚を表している。このような、より抽象的で文脈に縛られたヘルスアドボカシーの概念は、コンピテンシーフレームワークでは容易に定義できず、教育と評価の両方に課題をもたらす。