医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Healing Through History: a qualitative evaluation of a social medicine consultation curriculum for internal medicine residents (BMC Med Educ 2021)

Bradley J, Styren D, LaPlante A, Howe J, Craig SR, Cohen E. Healing Through History: a qualitative evaluation of a social medicine consultation curriculum for internal medicine residents. BMC Med Educ. 2021;21:95.

背景:社会的文脈はケアを導き、物語は意味を維持するが、このどちらも、resident教育では日常的に優先されていない。Healing Through History (HTH)は、医療的・社会的に複雑な患者の臨床ケアに、健康の物語の社会的決定要因を統合した社会医学コンサルテーションカリキュラムである。このカリキュラムは、Veterans Health Administration hospitalでの内科 (IM)resident外来臨床ローテーションの一部である。我々の目的は、綿密な社会医学的コンサルテーションが、residentの臨床実践にどのように影響を与え、仕事における意味をどのように育むのかを探ることである。

方法:2017年から2019年にかけて、IM研修1年目のcategoricalおよびpreliminary resident49名を対象に、患者を特定してインタビューし、共同制作した社会医学的ナラティブを作成し、患者および教員とレビューし、それを電子カルテ (HER)で共有する、半日のセッションを2回行った。医学人類学者は、2019年、体験から1~15ヶ月後に、1年目・2年目のIM residentを対象に、別個に90分のフォーカスグループを実施した。

結果:46名 (94%)がHTHコンサルテーションを完了し、そのうち40名 (87%)が患者から承認され、HERに掲載された。12名 (46%)のcategorical IM residentがフォーカスグループに参加した (PGY1 6名、PGY2 6名)。質的分析の結果、3つのテーマが同定された。すなわち、1. 患者とのつながり・洞察力・臨床への影響、2. 臨床スキルの獲得、3. 社会医学の実践を阻む構造的障壁である。

結論:HTHは、仕事の意味を育む一方で、複雑な臨床ケアにおいて社会的・ナラティブ的医学コンサルテーションを通じた共同生産を教えるモデルを提供する。研修全体を通じた統合は、インパクトをさらに高めることができるかもしれない。

個人的所感:SDH領域のリサーチですが、患者さんや医療人類学者を巻きこんでリサーチをしているところは興味深いです。