医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Self-directed learning by video as a means to improve technical skills in surgery residents: a randomized controlled trial (BMC Med Educ 2021)

Chartrand G, Soucisse M, Dubé P, Trépanier JS, Drolet P, Sideris L. Self-directed learning by video as a means to improve technical skills in surgery residents: a randomized controlled trial. BMC Med Educ. 2021 Feb 5;21:91.

背景:外科residentは,厳しいスケジュールのなかで,技術を訓練する時間が限られている.本研究の目的では,外科residentにおいて,ビデオを用いた,自己主導型学習 (self-directed learning; SDL)の教育モデルを評価することである.

方法:参加者全員からインフォームド・コンセントを得た.2018年にHôpital Maisonneuve-Rosemont(モントリオール大学)において,RCTを行った.参加者は,一般外科residentだった.対象となるresidentは27名で,22名が調査を完了した.彼らは,死体の豚腸に腸管吻合を行う様子を,ビデオ撮影された.ビデオによる自己主導型学習群 (SDL-V)には,経験豊富な外科医が行う手技を実演したエキスパートビデオが与えられた.コントロール群は通常の業務を継続した.3週間語,参加者は,2回目の吻合を行い,ビデオ撮影された.2人の外科attendingが,Objective Structured Assessment of Technical Skills scaleを用いて,撮影された,residentの吻合を評価した.2回目の吻合術後,参加者全員がエキスパートビデオにアクセスし,また調査に回答した.

結果:1回目または2回目の撮影での吻合術の間に,両群間で有意な差はなかった(1回目 control: 23.6 (4.5) vs. SDL-V: 23.9 (4.5), p = 0.99, presented as mean (SD)) (2回目 control: 27.1 (3.9) vs. SDL-V: 29.6 (3.4) p = 0.28).両群ともに,介入前から後にかけて有意に改善した (mean difference between the two anastomosis procedure with 95% CI for control: 3.5, [1.1; 5.9] and for SDL-V: 5.8, [3.4: 8.2]).評価者間のスコアの相関は中程度であった (r = 0.6, 95% CI: [0.3: 0.8]).合否のグローバル評価は,評価者間の信頼性が低かった (Kappa: 0.105, 95% CI: [- 0.2:0.4]).調査では,参加者全員が,特定の手術手技のエキスパートによるビデオをより多く希望していた.

結論:介入群では最終的なOSATSスコアが高かったにもかかわらず,ビデオによる自己主導型学習は,この小さなコホートでは,2群間のOSATS全体のスコアに統計的に有意な差をもたらすことができなかった.