医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A realist synthesis of prospective entrustment decision making by entrustment or clinical competency committees (Med Educ 2023)

Schumacher DJ, Michelson C, Winn AS, Turner DA, Martini A, Kinnear B. A realist synthesis of prospective entrustment decision making by entrustment or clinical competency committees. Med Educ. 2023 Dec 13. Epub ahead of print.

背景:委託または臨床能力委員会(entrustment or clinical competency committees; E/CCCs)による前向き委託意思決定(prospective entrustment decision making; PEDM)の根底にある現実世界のメカニズムは十分に理解されていない。この分野の理解を深めるために、著者らは発表された文献を現実主義的に統合し、以下の研究課題に取り組んだ: E/CCCの取り組みにおいて、擁護可能な前向き委託決定(PEDs)を行うために、何が、誰にとって、どのような状況で、なぜ有効なのか?

方法:現実主義の研究は、物事がどのように、そしてなぜうまくいくのか(あるいはいかないのか)を説明する文脈(C)、メカニズム(M)、結果(O)を理解しようとするものである。著者らの研究では、コンテクストには、個々のE/CCCメンバー、E/CCCの構造とプロセス、トレーニングプログラムが含まれる。成果(すなわち望ましい結果)はPEDであった。メカニズムは、分析の重要な焦点であり、核となる発見をもたらした。最終的に52の論文からなるコーパスを定義するために、著者らは4つのデータベースを検索し、検索結果のすべてをスクリーニングし、スクリーニングされた論文のサブセットについてフルテキストレビューを行った。データ抽出は、PEDMがどのようにPEDsにつながるかについての理論を構築するために、論文から文脈-メカニズム-結果の構成を構築することに重点を置いた。

結果:PEDMは、研修生を預けるべきか否かを決定する熟慮されたプロセスではなく、既定の(熟慮されていない)意思決定によって推進されることが多い。デフォルトの場合、一部のE/CCCは赤信号を見つけ、その赤信号が、より慎重な意思決定につながることもある。慎重であろうとするE/CCCは、PEDMについて、努力が必要な場合(データが不十分であったり、不一致であったりする場合)もあれば、努力が不要な場合(データがしっかりしていて、研修生について一致したストーリーを語っている場合)もあると述べている。研修生の信頼性に関する情報と、訓練生のパフォーマンスに関するデータの十分性の両方が、PEDMに影響を与える。何が十分なデータであると考えられるか、信頼性データをどのように見るか、PEDMをどのように実施するかには、いくつかの調整要因が影響する。これらには、認識される結果と関連するリスク、E/CCCメンバーの信頼傾向、E/CCCメンバーの研修生に関する個人的な知識と経験、E/CCCの構造とプロセスが含まれる。

結論:PEDMが意図的に行われることは稀であるが、行われるべきである。研修生の信頼性に関するデータは、PEDsを行うための基礎となる。PEDMにおけるバイアス、公平性、公正性の役割について、理解と実践を進めることが今後の課題である。