医学教育研究者・総合診療医のブログ

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How Clinical Supervisors Conceptualize Procedural Entrustment: An Interview-Based Study of Entrustment Decision Making in Endoscopic Training (Acad Med 2021)

Jeyalingam T, Brydges R, Ginsburg S, McCreath GA, Walsh CM. How Clinical Supervisors Conceptualize Procedural Entrustment: An Interview-Based Study of Entrustment Decision Making in Endoscopic Training. Acad Med. 2021 Dec 21. Epub ahead of print.

背景:コンピテンシーベース医学教育(CBME)における評価の中心は委託  (entrustment)である。これまで、臨床指導医が委託をどのように概念化しているか、委託を決定する際に考慮する要素を含めて、ほとんど研究されていない。本研究の目的は、消化器内視鏡をテストケースとして、手技の委託に関連する指導医の意思決定の特徴を明らかにすることであった。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーの手法を用い、米国とカナダの複数の専門分野(成人および小児消化器科、外科、家庭医療)の内視鏡検査指導医29名にインタビューを行った。2019年4月から11月にかけて実施した半構造化インタビューでは、指導医が手技の委託をどのように概念化し、委託の決定をどのように行い、どのような要因を考慮するのかに焦点を当てた。逐語録をconstant comparisonを用いて分析し、説明的な枠組みとテーマを生成した。

結果:インタビュー逐語録の分析から、3つのテーマが特定された。(1) 委託は様々な程度で発生し、時間とともに変動する。(2) 委託の決定は、手技的および非手技的な文脈のなかで、あるいは文脈を超えて移行する。(3a) 永続的な静的要因(例:監督者の能力、組織文化、法的考察)は委託の決定に影響を与え、 (3b) 変動的、状況的動的要因(例:研修生のスキル、患者の急性期、時間の制約)は研修中の出来事から次の瞬間に変化しがちである。

結論:臨床指導医は、手技の委託を決定する過程で、静的な要因を背景に複数の動的要因を総合的に判断し、委託の可否を決定しているようである。委託の判断は時間の経過とともに変化し、評価者は特定の研修生に関する判断を複数の現場に移すことがあるようだ。指導医がどのような要因で判断に影響を与えると認識しているかを理解することは、指導医の育成や、研修生の監督されていない診療に関する指導医の判断を集約しようとするcompetency committeesに役立つ可能性がある。CBMEプログラムを指導する者は、観察された静的要因を最適化することに投資し、これらの基礎的要因が研修生の学習と委託の達成を促進するように調整することが望ましいと思われる。