医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Necessity of Pretests in Central Venous Catheter Insertion Simulation-based Mastery Learning: A Randomized Controlled Trial (Acad Med 2023)

Barsuk JH, Mitra D, Cohen ER, Wayne DB. Necessity of Pretests in Central Venous Catheter Insertion Simulation-based Mastery Learning: A Randomized Controlled Trial. Acad Med. 2023 Feb 10. Epub ahead of print.

背景:シミュレーションに基づく習得学習(Simulation-based mastery learning; SBML)は、コンピテンシーに基づく学習の厳密な形態である。SBMLの構成要素には、事前テスト、意図的な練習、および事後テストが含まれ、すべての学習者はトレーニングを完了する前に事後テストで最低合格基準(minimum passing standard; MPS)を満たすかそれ以上でなければならない。著者らは、修正SBMLカリキュラム(事前テスト評価なし)が標準SBMLカリキュラム(事前テスト評価あり)と同等の効果を持つかどうかを調査することを目的とした。

方法:著者らは、2018年12月から2021年12月まで、イリノイ州シカゴの三次ケア学術医療センターで内頚静脈中心静脈カテーテル挿入SBMLカリキュラムに参加した内科レジデントを対象に、ランダム化比較試験を実施した。レジデントは、通常のSBML介入を行う群(事前テスト群)と、事前テストを行わない修正SBML介入を行う群(事前テストなし群)にランダムに振り分けられた。著者らは、グループ間でテスト後の初期成績とトレーニング時間を比較した。

結果:対象レジデント120名中89名(74.1%)が研究を完了した(事前テストあり群43名、事前試験なし群46名)。事後テストの得点の中央値(IQR)は、事前テストあり群(96.6[93.1-100])と事前テストなし群(96.6[92.4-100])の間で統計的な差はなかった。しかし、事前テストあり群では43名全員(100%)が初回後試験でMPSに到達したのに対し、事前テストなし群では46名中41名(89%)が到達した(p = 0.06)。また、事前テストあり群では事前テストなし群に比べ、16.5時間多く教員および学習時間が必要であった。

結論:事前テストを実施したレジデントほど、初回事後テスト時にMPSに到達していた。しかし、内頸動脈中心静脈カテーテルSBMLのカリキュラムに事前テストを取り入れると、明確な成績向上効果は得られないものの、学習者と教員の時間を大幅に増やす必要があった。