医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Endured and prevailed: a phenomenological study of doctors' first year of clinical practice (BMC Med Educ 2023)

Coakley N, O'Leary P, Bennett D. Endured and prevailed: a phenomenological study of doctors' first year of clinical practice. BMC Med Educ. 2023;23:109.

背景:医学生から医師への移行が困難であることは、新米医師のメンタルヘルスウェルビーイングに関連する負の影響によって強調されている。医学部新卒者が勤務1年目に移行する段階での生きた経験の理解を深めることで、遭遇する困難を緩和するための介入策を知ることができる。

方法:解釈学的現象学的分析(interpretative phenomenological analysis; IPA)というこのテーマへの新しいアプローチを用いて、卒業後1年間の学生から医師への移行に伴う生きた経験を調査した。12名の新卒者を意図的に募集した。勤務1年目の終わりに、1年目の経験に関して半構造化面接を行った。

結果:移行期の経験は、時間的な段階の重なりによって特徴づけられていた。参加者の初期適応期は、ショック、対処、安定化によって特徴づけられた。その後、自信の成長、セルフケアに焦点を当てた発展段階が続いた。逆境は、多職種間の緊張、過労、孤立、虐待という形で経験された。最後に、省察と合理化の時期が1年目の終わりを告げた。

結論:能力および業績に関する初期の不安の後、参加者の移行体験は、臨床実践の文化的、関係的、文脈的側面に大きく影響された。この困難な時期を緩和するための解決策としては、段階別の移行期の介入、卒前・卒後の両方におけるカリキュラムの変更、耐えられる困難を緩和するための臨床学習環境の再評価が挙げられる。