Chen JX, Chang EH, Deng F, Meyerson S, George B, Kozin ED, Gray ST. Autonomy in the Operating Room: A Multicenter Study of Gender Disparities During Surgical Training. J Grad Med Educ. 2021;13:666-672.
背景:医学界では男女格差が蔓延しているが、外科トレーニングへの影響についてはあまり研究されていない。本研究の目的は、研修生の術中体験における性差を定量化し、手術の自律性と成績の評価に関連する変数を探索することであった。
方法:2015年9月から2019年5月にかけて、71プログラムのアテンディングと研修生が、外科手術後に研修生の自律性を4段階Zwischスケールで、パフォーマンスを5段階修正Dreyfusスケールで評価した。多変量回帰モデルを用いて、研修生の性別と自律性・パフォーマンス評価との関連を検討した。
結果:3255名の研修生とアテンディングが、94619件の評価を行った。研修レベル、アテンディング、手術手技をコントロールした場合、アテンディングは男性研修生よりも女性研修生に低い手術の自律性の評価を与えた(効果量B = -0.0199, P = 0.008)。研修開始時の自律性の評価には差がなかった(P = 0.32);研修生の年齢が上がるにつれて差が生じた(B = -0.0163, P = 0.020)。自律性の男女差は、最も複雑な症例で最も大きかった(B = -0.0502, P = 0.002)。しかし、手術成績に対するアテンディングの評価は、男性研修生と比較して女性研修生では差がなかった(B = -0.0124, P = 0.066)。研修レベル、アテンディング、手技、症例の複雑さ、アテンディングの評価をコントロールした場合、女性研修生は男性よりも自律性が低く、パフォーマンスが悪いと評価した(自律性 B = -0.0669, P < 0.001; パフォーマンス B = -0.0704, P < 0.001)。
結論:手術成績の評価に有意な差は認められなかったが、女性外科研修生と男性外科研修生の手術の自律性の評価にわずかな差が認められた。