医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Perception of Medical Student Mistreatment: Does Specialty Matter? (Acad Med 2021)

O'Brien KE, Mechaber AJ, Ledford CH, Klocksieben FA, Fagan MJ, Harrell HE, Kaib S, Elnicki M, Van Deusen R, Moerdler S, Jagsi R, Frank E; Perceived Abuse of Medical Students (PAMS) Investigators. Perception of Medical Student Mistreatment: Does Specialty Matter? Acad Med. 2021 Jun 29. Epub ahead of print.

背景:医学生への虐待 (mistreatment)は広く行われているが、すべての医師がこの問題について共通の理解を持っているかどうかは不明である。著者らは、専門的にデザインされたトリガービデオを6つの異なる専門分野の医師に提示し、彼らが虐待とその深刻さを同様に認識しているかどうかを調べた。

方法:2016年10月から2018年8月にかけて、米国の10のメディカルスクールに所属するレジデントおよびアテンディングが、虐待と受け取られる可能性のある行動を示す5つのトリガー動画を視聴した。彼らは、認知を探るアンケートに回答した。著者らは、専門分野間で虐待の認識を比較し、各シナリオについて、専門分野と虐待の認識の関係を評価した。

結果:レジデントとアテンディング合わせて650名が参加した。5つのシナリオのうち、攻撃的な質問(74.1%–91.2%)、否定的なフィードバック(25.4%–63.7%)、不適切な仕事の割り当て(5.5%–25.5%)の3つのシナリオでは、専門分野によって虐待の認識に統計的に有意な差が見られた(いずれもP ≦ 0.001)。性別、人種、専門的役割、過去の虐待を調整した結果、外科系の医師は内科系の医師と比較して、3つのシナリオ(攻撃的な質問、否定的なフィードバック、不適切な課題)が虐待を表す可能性が低いと考えていた。産婦人科医と「その他」の専門医は内科医に比べて、2つのシナリオ(攻撃的な質問、否定的なフィードバック)で虐待を感じることが少なく、家庭医は内科医に比べて、1つのシナリオ(否定的なフィードバック)で虐待を感じることが多かった。積極的な質問(4.4–5.4, P < 0.001)、民族的な無神経さ(5.1–6.1, P = 0.001)、セクシャルハラスメント(5.5–6.3, P = 0.004)の3つのシナリオでは、1から7のスケール(最も深刻なのは7)で認識された虐待の平均重症度も、専門分野によって統計的に有意に異なっていた。

結論:専門性は、虐待の認識とその深刻さの評価の違いと関連していた。なぜ専門分野によって虐待の認識が異なるのか、またその違いにどのように対処すべきかについては、さらなる調査が必要である。