Eggeling M, Bientzle M, Korger S, Kimmerle J. The impact of patient narratives on medical students' perceptions of shared decision making: A randomized controlled trial. Med Educ Online. 2021;26:1886642.
背景:臨床現場での共有意思決定(SDM)を成功させるためには、将来の臨床医がトレーニングの早い段階で患者参加の価値を理解することが必要である。患者の証言などのナラティブは、患者の意思決定プロセスを支援するためにうまく利用されてきた。これまでの研究では、ナラティブは医療相談における臨床医の共感性や対応力を高めるためにも利用される可能性があることが示唆されている。しかし、これまでのところ、医学生にSDMの関連性を伝えるためのナラティブの利点を調査した研究はなかった。
方法:このランダム化比較試験では、医学生167名を対象に、パーキンソン病患者の診察を想定したシナリオを行った。参加者は、一般的な情報提供を受けた後、パーキンソン病患者の物語的な証言と事実に基づいた情報テキストのいずれかを読んだ。SDMに対する認識、コントロールの好み(すなわち、誰が決定を下すべきかという優先順位)、診察に費やす予定の時間を測定した。
結果:患者のナラティブ証言の条件の参加者は、情報テキストを読んだ条件の参加者よりも、意思決定をすべきは患者であると強く言及していた。患者のナラティブを読んだ参加者はまた、同等の治療選択肢が複数存在する状況でのSDMの重要性を、情報テキストを読んだ参加者よりも高く評価していた。コントロールの好みに関しては、群間差はなかった。患者の語りを読んだ参加者は、より多くの診察時間を予定することを示唆した。
結論:本研究の知見から、ナラティブは医学生にSDMと患者中心の価値観の関連性を伝えるのに有用である可能性があることが示された。この効果の考えられる原因と、研修や今後の研究への示唆について議論する。