医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Qualitative Analysis of Medical Student Reflections on the Implicit Association Test (Med Educ 2021)

Gonzalez CM, Noah YS, Correa N, Archer-Dyer H, Weingarten-Arams J, Sukhera J. Qualitative Analysis of Medical Student Reflections on the Implicit Association Test. Med Educ. 2021 Feb 5. Epub ahead of print.

背景:医療専門職の教育者は、学習者の暗黙のバイアスに対する意識を高めるために、Implicit Association Test (IAT)を使用しており、しばしば強い感情的な反応を引き起こしている。一旦感情的な反応が起きると、学習者の反応と戦略の特定との間のギャップはまだ比較的十分には調査されていない。本研究では、学習者がどのようにしてバイアス緩和戦略を識別しているのかをより理解するために、医学生の臨床実習中のIAT受験経験とその結果のフィードバックの視点を探った。

方法:米国ニューヨーク州ブロンクス医学生が、暗黙のバイアスに関する90分のセッションに参加した。本研究の解析の焦点は、セッション後に、人種ベースのIATを受験し、IATの結果に対する反応と将来の医師としての仕事への影響の両方を記述するように招待する、ナラティブな課題である。著者らは、2013年から2019年までに記入された、ランダムに選択された180本の非同定エッセイを、構成主義的グラウンデッド・セオリー方法論に基づいたアプローチを用いて、分析した。

結果:臨床経験のある医学生は、IATへの反応、戦略の特定のための闘争を伴うバイアスの受容、臨床ケアへのバイアスの影響を緩和するための様々な戦略の特定を含む、連続的な過程を経て、IATに反応していた。IATの結果は、学生に深い感情的な反応を呼び起こし、それまでの思い込みへの疑問を呈し、パラダイムシフトにつながっていた。これらの深くて有意義な省察とは対照的に、学生が戦略を特定することを選択することはほとんどなく、特定した学生はあまりニュアンスのない戦略を提示していたことが、予想外の結果であった。

結論:学生は、自分自身のなかにある暗黙のバイアスを受容し、バイアスのないケアを提供したいと考えているにも関わらず、スキル獲得のための重要な前提条件であるバイアス緩和戦略を特定するのに、苦労していた。教育者は、臨床現場でのアウトカムを向上するために、バイアスの受容とバイアス管理のスキル獲得との間にある溝を埋めるための指導を拡大するよう、努力すべきである。