医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Integrating Primary Care Appointments Into Resident Orientation (J Grad Med Educ 2020)

Ewen AM, Villarreal-Calderon R, Lynch S, Schneider JI. Integrating Primary Care Appointments Into Resident Orientation. J Grad Med Educ. 2020;12:759-763.

背景:研修生のwell-beingは、施設およびプログラムにとって大きな関心事であるが、多くのresidentが、自分自身のプライマリ・ケアへのアクセスやコンタクトが最適ではないと報告している。residentの健康管理のニーズに対応するために、全ての新入りresidentが、オリエンテーション期間中にプライマリ・ケア臨床医 (PCP)とのアポイントメントを受けることができる仕組みを開発した。

方法:2019年4月、全ての新入りresident (17個の専門分野)が参加するよう、招待された。卒後医学教育オフィスと家庭医療部門と内科部門とが関与する連携によって、興味のあるresidentは、オリエンテーション中に予め指定された時間に開催され、他のオリエンテーションや学習活動とは重ならないPCPの予約に参加することができた。residentには予約の詳細が通知され、保険請求手続きが行われた。調査は、予定されたPCP予約の2週間後に、参加した全てのPCPと新入りresidentに対して、配布された。

結果:144人の新入りresidentのうち、118人( 82%)が参加した。調査に回答した71人 (49%)のうち、94%が予約を希望し、90%が予定通り予約に参加した。52%が今後の予約のための導入を目的として訪問しており、一方15%が処方箋を要求した。1人を除く全ての人が、将来的にこの取組を推奨した。72%がPCPイニシアチブに参加することでセルフケアの改善に間違いなく/おそらくつながったと答え、76%が参加することで自らの健康とwell-beingをより意識するようになったと答えた。

結論:PCPの予約をオリエンテーションに組みこむことは、大規模なアカデミックメディカルセンターでは、実現可能であり、非常に受け入れられていた。

個人的所感:residentの健康・well-beingについてのリサーチは数多くありますが、このように、residentを、プライマリ・ケア医へと、オリエンテーション期間に「システム」でつなぐという発想、しかもそれをリサーチにするという発想はなかったので、興味深かったです。