医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Demographics and Career Intentions of Graduates of Combined Baccalaureate-MD Programs, 2010-2017: An Analysis of AAMC Graduation Questionnaire Data (Acad Med 2021 )

Merritt R, Baird J, Clyne B. Demographics and Career Intentions of Graduates of Combined Baccalaureate-MD Programs, 2010-2017: An Analysis of AAMC Graduation Questionnaire Data. Acad Med. 2021;96:108-112.

背景:baccalaureate (バカロレア)とMDを組み合わせたプログラムはphysician-scientistの育成を促進し、労働力の多様性を増やし、プライマリ・ケアキャリアを促進し、underservedな患者のニーズを満たすなど、様々な教育的使命を果たすために存在している。本研究では、従来のMDプログラムの卒業生と比較して、複合プログラムの卒業生の人口統計学、彼らのプライマリ・ケアをしようとしていること (intention to practice in primary care; IPPC)、医療的にunderservedな人々と働こうとしていること (intention to work with the medically underserved; IWMU)を決定しようとした。

方法:医学生を対象とした全国調査である、2010年〜2017年の米国医科大学卒業アンケート調査のデータを、分析前に再分類 (例:複合プログラム or 伝統的プログラム)した。2つの主要アウトカム (IPPCとIWMU)について、ロジスティック回帰モデルを用いて、共変量と予測因子 (例:性別、医療での非代表者グループ (URM)のメンバー、医学学位プログラムの種類など)の効果のオッズ比を推定した。

結果:合計109,028人の回答者のデータを得た (複合プログラム3,182人、伝統的プログラム105,846人)。複合プログラムの学生は、伝統的プログラムの学生と比較すると、より若い傾向 (卒業時年齢 29歳以下は、3143人=98.8% vs 89,688人=84.7%)、女性が多い傾向 (1,813人=57.0% vs 52,013人=49.1%)があったが、一方、URMグループのメンバーであると認識する傾向は低かった (276人=8.7% vs 14,757人=13.9%)。調整されたロジスティック回帰モデルでは、複合プログラムを卒業していること、女性であること、IWMUであることはIPPCのオッズが大きいことを有意に予測した、一方、URMであること、女性であること、借金をしていることはIWMUのオッズが有意に大きいことを予測した。家庭医療をキャリアとして挙げている卒業生は、よりIWMUを挙げている傾向があった。

結論:複合プログラムを卒業した医学生はIPPCを示す可能性が高いが、伝統的プログラムを卒業した医学生に比べてIWMUを示す可能性は高くなかった。

個人的所感:テーマ自体はこれまでにも取り上げられていそうなものなのでしょうが、集めているn数、測定している項目 (結構踏み込んで聞いている?)などが興味深かったために、Acad Medに掲載されたのかな…と感じました。