医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Discharge Communication: A Multi-Institutional Survey of Internal Medicine Residents’ Education and Practices (Acad Med 2020)

Trivedi SP, Kopp Z, Tang AJ, Mammen A, Pandya D, Horwitz LI, Schwartz MD. Discharge Communication: A Multi-Institutional Survey of Internal Medicine Residents’ Education and Practices. Acad Med. 2020 Dec 15. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、卒後医学教育 (GME)における退院コミュニケーションに関するresidentの実践と、ケアの移行 (transition of care)指導への曝露を特徴づけることである。

方法:2019年春、7個の学術医療センターに所属する内科residentが、卒後トレーニングの間に経験したケアの移行の指導のタイプと、6個の重要な退院コミュニケーション実践を行った頻度を報告する、横断的調査に回答した。各residentの平均退院コミュニケーションスコアを計算し、重回帰分析を用いて、教育経験のタイプへの曝露と、residentが頻繁に (60%以上)行ったと報告した退院コミュニケーション実践との関係を分析した。また、residentが自らの退院実践を変えようと動機づける因子を探索するため、内容分析も行った。

結果:回答率は63.5% (613/966)だった。residentの退院コミュニケーション実践にはばらつきがあった。注目すべきは、17.0%のresident (n = 104)のみが、日常的に、患者に“teach-back”や退院計画の理解についての説明を求めていると報告した。重要な退院コミュニケーション実践を頻繁に行うオッズは、residentが退院時の患者とのコミュニケーションに関する観察およびフィードバックに基づく指導を受けた場合 (調整後オッズ比 1.73 [1.07-2.81])、またはresidentが明示的にオンラウンドで指導を受けた場合 (同 1.46 [1.04-2.23])に、より高くなっていた。自由形式コメントでは、residentは、退院後の経過のどこかで患者の有害事象を経験したことが、実践を変える大きなきっかけになったと報告した。

結論:本研究では、患者との退院コミュニケーションにおけるギャップを明らかにし、退院コミュニケーションスキルについての職場ベースの指導の利点を浮き彫りにし、隠れたカリキュラムの源として有害事象の影響を明らかにした。本研究の知見は、ラウンド時の教育でケアの移行についての指導を取り入れるように教員を育成し、そして退院後の連続性のなかでの経験をresidentの教育に統合することで、断片化した医療システムのなかえ効果的なケアの移行を行うチャンピオンである研修医を育成できる可能性を示唆している。