医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Mixed reality for teaching catheter placement to medical students: a randomized single-blinded, prospective trial (BMC Med Educ 2020)

【文献201219】Schoeb DS, Schwarz J, Hein S, Schlager D, Pohlmann PF, Frankenschmidt A, Gratzke C, Miernik A. Mixed reality for teaching catheter placement to medical students: a randomized single-blinded, prospective trial. BMC Med Educ. 2020;20:510.

背景:実践的な医学教育をファシリテートするための費用対効果の高い方法が求められており、新たな実践課題を学習する際に学生に指示を与えるためには、“mixed-reality” (MR)技術が適しているように見受けられる。本研究では実践的な手技を教育するためのstep-by-stepのMRガイダンスシステムを評価するために、膀胱カテーテル留置を学ぶ医学生に対して、ランダム化単盲検前向き試験を実施した。

方法:164人の医学生を集めた。学生はランダムに2グループに分けられて、男性カテーテルレーニングモデルに対して膀胱カテーテル留置を行う方法についての指導を受けた。1つのグループ (107人)はインストラクターに指導を受けて、もう1つのグループ (57人)はMicrosoft HoloLensを用いたMRガイダンスシステムに指導を受けた。両グループともハンズオントレーニングを行った。知識、現代技術に対する感心、自己評価についての標準化された質問紙に回答してもらった。さらに、システムの使い勝手を評価してもらった。両グループの学習アウトカムを、標準化されたOSCEで評価した。

結果:学習アウトカムの評価では、コントロールグループの平均値 19.96プラスマイナス2.42に対して、MRグループの平均値 21.49プラスマイナス2.27であり、MRグループの結果は有意に良かった (p = 0.00)。自己評価では両グループ間で差がなかったが、コントロールグループでは、指導の質の評価でより高い評価をつけていた。MRシステムの評価では、累積SUS (system usability scale)スコアが56.6点 (下半分)、累積スコアが24.2プラスマイナス7.3点 (n = 52)(NASAタスク負荷指数100点満点中)という使い勝手の悪さを示した。

結論:MRは実技指導のための有望なツールであり、優れた学習アウトカムを可能にする可能性を持っている。現在のシステムの使い勝手を改善するためには、MR技術の進歩が必要である。