医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Clinical sensemaking: Advancing a conceptual learning model of clinical reasoning (Med Educ 2024)

Koufidis C, Manninen K, Nieminen J, Wohlin M, Silén C. Clinical sensemaking: Advancing a conceptual learning model of clinical reasoning. Med Educ. 2024 Jun 20. Epub ahead of print.

背景:臨床推論が臨床環境でどのように学習されるかについては、まだ多くのことが解明されていない。本研究は、初心者の医学生が臨床患者との出会いをどのように意味づけるかを検討することによって、どのように推論を学ぶかを解明しようとするものである。

方法:本研究は、臨床推論の学習モデルを開発するために構成主義的グラウンデッド・セオリー(CGT)を用いた大規模な研究プロジェクトの一部である。センスメイキングの視点を導入し、以前に開発したモデルをさらに発展させるために、CGTを用いて第2レベルの分析段階を行った。これは、初期臨床実習中の新米学生の半構造化面接、参加者観察、およびフィールド・インタビューから収集したデータの再検討を含むものであった。

結果:医学生が患者との出会いをどのように意味づけるかについての学習モデルが分析から浮かびあがった。その中核には、学生の臨床的意味づけ活動を構成する3つの相互依存的なプロセスがある。状況をフレーミングすることは、学生が顕著な状況的要素を識別し、それらを意味のある関係に置き、臨床問題に統合するプロセスである。状況を探究することは、学生がどのような質問をする必要があるかを判断することによって、状況をさらに深く洞察するプロセスである。最後に、意味のある行動をとるとは、学生が状況に適した行動の道筋を切り開くプロセスである。これらのプロセスで経験する緊張は、臨床的センスメイキングを損なう。

結論:本研究は、カリキュラムの初期段階における臨床推論の学習モデルを実証的に提供するものである。このモデルは、学生が臨床状況の本質を構成するものを認識し、それに対応することを学ぶ際の、医療実践の複雑さを捉えようとするものである。これにより、臨床推論についての考え方や話し方における概念的な転換に貢献する。このモデルは、臨床的センスメイキングという概念を導入し、しばしば未確定の臨床状況から具体的な臨床問題を切り出し、正当な行動を追求する行為としている。