医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The die-hards, negotiators and migrants: Portraits of doctors' career pathways through specialisation (Med Educ 2024)

Rozario SY, Farlie MK, Sarkar M, Lazarus MD. The die-hards, negotiators and migrants: Portraits of doctors' career pathways through specialisation. Med Educ. 2024 Mar 11. Epub ahead of print.

背景:専門医の世界的な人材不足は医療制度に負担をかけ、患者の転帰を危うくしている。プロフェッショナル・アイデンティティ(PI)の育成を支援することで採用戦略を強化することは、この労働力格差に対処する一つの方法であると考えられるが、このテーマについて調査した研究はほとんどない。本研究の目的は、PIを考慮した専門医の採用について検討することである。解剖学的病理学(AP)における人材不足の原因が他の多くの専門分野と類似していることから、本研究ではAP分野を専門医PI開発のモデルとして用い、(1)医師はなぜ、どのように、そしていつAP研修を受けることを選択するのか、(2)APおよび他の専門分野への人材採用のために、そこから何を学ぶことができるのか、を問う。

方法:ナラティブ・インクワイアリーを用いた質的研究アプローチを実施した。オーストラリアとニュージーランドのAPに関心のある若手医師、AP登録医、APコンサルタントへのインタビューは、「再ストーリー化」によってストーリーとして解釈された。参加者のストーリーをナラティブに統合することで、APを選択するうえで時系列的に重要な出来事(すなわち「ターニングポイント」)を特定した。

結果:ナラティブの統合により、専門医研修に参加する3つのポートレートが特定された:(1) 最初に専門医になることを決めたダイハード、(2) 専門を比較した後に選択したネゴシエーター、(3) 非病理学専門医からの移行を目指した移住者。ネゴシエーターと移住者は、大学院で専門医を目指すという決断を固めたが、ダイハードは医学部在学中にこの決断を下した。

結論:文献上は専門医と他の専門医の間の特徴に共通点があることから、我々の結果は、PI開発を用いて専門医採用を支援する方法を示唆している。我々は、ダイハード、ネゴシエーター、移住者の特徴を持つ医師のPI開発を支援する専門医採用フレームワークを提案する。このフレームワークを用いることで、特に労働力不足が課題となっている分野において、現在の専門分野別の採用アプローチを強化することができるだろう。