医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Challenges in engaging patients in feedback conversations for health care professionals' workplace learning (Med Educ 2024)

Sehlbach C, Bosveld MH, Romme S, Nijhuis MA, Govaerts MJB, Smeenk FWJM. Challenges in engaging patients in feedback conversations for health care professionals' workplace learning. Med Educ. 2024 Feb 28. Epub ahead of print.

背景:患者からのフィードバックは、医療従事者のパフォーマンスを向上させるための重要な情報である。患者をフィードバック対話に参加させることで、患者からのフィードバックを学習のための強力なツールとして活用することができる。しかし、医療環境によっては、患者と医療従事者が効果的にフィードバック対話を行うことができない場合がある。実践において、また実践からの学習をフィードバック対話がどのように支援するかについての理解を深めるために、インフォーマルな学習機会としてのフィードバック対話に患者を参加させることについての患者と医療提供者の視点を探ることを目的とした。

方法:この質的研究では、プラグマティック・アプローチを用い、12人の医療提供者と10人の患者相談員と半構造化面接を行った。帰納的アプローチによるテーマ分析を適用し、職場学習のための患者フィードバックに関する被面接者の認識を理解した。

結果:参加者は患者からのフィードバックを重要視し、そのフィードバックがチームレベルや組織レベルにおいて、どのように治療関係、専門家のパフォーマンス、ケアプロセスを改善するかを説明した。参加者はそれぞれ、患者と教育者、専門家と学習者という相反する役割を経験していた。治療関係における人間関係の変化、脆弱性の感情、パワー・ダイナミクスの認識は、参加者のフィードバック会話への参加に影響を与えるだろう。患者も専門家も同様に、フィードバックを与えたり招いたりすることは自分自身の役割であると考えていたが、フィードバックの会話に参加するためのツールを見逃していることが多かった。

結論:患者からのフィードバックは、専門家の実践に基づいた学習に貢献しうるが、治療関係における相反する役割とパワー・ダイナミクスをめぐる緊張を乗り越える必要がある。患者と医療従事者の双方が脆弱性を受け入れる必要があり、患者からのフィードバックを効果的に利用するためには、ファシリテーションとガイダンスが必要である。しかし、患者をフィードバックの会話に参加させ、患者の持つ力を活用するためには、協力的な関係への転換とまではいかなくても、パワー・ダイナミクスに注意を払うことが重要である。